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2025.07.31

楽天トラベルでホテル・旅館の売上を増やすコツ

じゃらんnetと並び、国内のオンライン旅行予約サイト(OTA)市場を牽引する「楽天トラベル」。楽天グループが誇る1億以上のアクティブユーザーを背景に持つその集客力は、ホテル・旅館経営において決して無視できない存在です。多くの施設が楽天トラベルを重要な販売チャネルと位置づけていますが、その豊富な機能を十分に使いこなし、売上を最大化できているケースは意外と少ないかもしれません。

「競合施設が多くて自館のページが見てもらえない」
「どの広告を使えば効果的なのか分からない」
「手数料を考えると、どう活用すべきか悩む」
といった課題を感じているオーナー様も多いのではないでしょうか。

楽天トラベルで売上を増やすには、プラットフォームの特性や表示順位の仕組みを理解し、数ある販促ツールを自館の戦略に合わせて的確に使い分けることが重要です。

本記事では、楽天トラベルで売上を伸ばすために不可欠な知識を、基本から応用まで徹底的に解説します。表示順位のロジック、魅力的なプランの作り方、楽天ならではの強力な集客施策、そして公式サイトとの連携の重要性まで、すぐに実践できるノウハウをお届けします。

楽天トラベルの集客力

楽天トラベルの最大の強みは、楽天グループが形成する「楽天経済圏」の存在です。楽天市場でのショッピングや楽天カードでの支払いなど、様々なサービスで貯まる・使える「楽天ポイント」は、多くのユーザーにとって強い魅力となっています。

この共通ポイント制度により、楽天会員は旅行の予約においても楽天トラベルを積極的に利用する傾向があります。

会員数は1億を超え、そのユーザー層も若者からファミリー、シニア、ビジネス層まで非常に幅広いのが特徴です。

また、年に4回開催される「楽天スーパーセール」や、頻繁に実施されるポイントアップキャンペーンなど、強力な販促イベントは絶大な集客力を誇ります。この巨大なプラットフォーム上で自施設の存在感を高めることが、売上向上の第一歩となります。

予約売上と宿泊売上の違い

楽天トラベルの売上について考える際、まず「予約売上」と「宿泊売上」の違いを理解しておく必要があります。

「予約売上」とは、特定の期間内(例えば1か月間)に、楽天トラベル経由で予約が成立した金額の合計を指します。予約された宿泊日が未来の日付であっても、予約が成立した時点で計上される売上です。

一方、「宿泊売上」とは、実際に宿泊客がチェックアウトした日に計上される売上のことです。

楽天トラベルの掲載順位のロジックなど、プラットフォーム内での評価は、主に「予約売上」が基準となります。つまり、楽天トラベルという販売チャネルにおいて、どれだけ多くの予約を獲得できているかが重要視されるのです。そのため、本記事ではこの「予約売上」を増やすための方法に焦点を絞って解説していきます。

楽天トラベルで予約売上に関係する要素

予約売上を増やすためには、まず売上がどのような要素で構成されているかを分解して考えることが有効です。予約売上は、以下のシンプルな方程式で表すことができます。

予約売上 = 客室単価 × 宿泊人数 × 宿泊日数 × 予約部屋数

この式から分かるように、売上を増やすには、これら4つの要素のいずれか、あるいは複数を向上させる必要があります。

例えば、「客室単価」を上げるためには、食事のグレードアップや特典付きといった付加価値の高いプランを作成することが考えられます。

「宿泊人数」や「宿泊日数」を増やすためには、ファミリー向けのプランや連泊割引プランが有効です。そして、全体の予約件数である「予約部屋数」を増やすためには、ページの閲覧数を増やし、予約転換率(CVR)を高める施策が不可欠となります。これらの要素を意識しながら、具体的な施策を組み立てていくことが重要です。

楽天トラベルで表示順に影響する3つの指標

楽天トラベルの検索結果ページで自施設を上位に表示させることは、ユーザーの目に触れる機会を増やし、予約売上を向上させる上で極めて重要です。

楽天トラベルの表示順位は、主に3つの指標に基づいて決定されると言われています。これらの指標を理解し、対策を講じることが成功の鍵となります。

前月の売上

最も重要な指標が、前月(前月1日〜末日)に楽天トラベル経由で成立した予約売上の実績です。売上実績が高い施設は、ユーザーからの人気が高く、楽天トラベルへの貢献度も大きいと判断されるため、優先的に上位表示される傾向にあります。このロジックは、プラットフォームの収益性を高める上で合理的と言えます。

この指標を改善するためには、客単価を意識したプラン造成や、後述する楽天トラベル独自の販促施策を戦略的に活用し、継続的に高い売上を維持することが求められます。 

口コミの点数

ユーザーが宿泊施設を選ぶ際に、予約の決め手として大きな影響力を持つのが「口コミ」です。

そのため、楽天トラベルでは口コミの総合点数も表示順位を決定する重要な要素とされています。評価が高い施設は、ユーザー満足度が高いと見なされ、安心して予約できる施設として上位に表示されやすくなります。点数を上げるためには、日々の清掃やメンテナンス、スタッフの接客応対、食事の質など、サービス全体のクオリティを高める地道な努力が不可欠です。

また、宿泊客に口コミ投稿を丁寧に依頼し、寄せられた意見には真摯に返信することで、顧客満足度の向上と評価点の改善につながります。 

部屋の提供数

楽天トラベルは、ユーザーが「泊まりたい」と思ったときに、いつでも予約できる豊富な在庫がある状態を重視しています。そのため、施設がどれだけ多くの部屋を、どれだけ先の日程まで提供しているかという「部屋の提供数(在庫数)」も評価指標の一つです。

特に、需要が高い週末や連休、ハイシーズンにしっかりと在庫を提供している施設は、ユーザーの利便性に貢献していると評価されます。機会損失を防ぐ意味でも、可能な限り先の期間まで、多様な部屋タイプの在庫を登録しておくことが、表示順位の安定化につながります。

楽天トラベルのプラン作成で意識したいポイント

表示順位を上げて自施設のページへのアクセスを増やしても、プラン内容に魅力がなければ予約には結びつきません。ユーザーの予約意欲を掻き立てる、戦略的なプラン作成のポイントを3つ紹介します。

ポイント①案内文を詳細に書く

プランの案内文は、そのプランの価値をユーザーに伝えるためのプレゼンテーションの場です。楽天トラベルでは最大1,000文字まで記述できるため、このスペースを最大限に活用しない手はありません。

どのようなお客様に、どのような体験を提供したいのか、そのプランのコンセプトを明確に伝えましょう。食事については、「A5ランク黒毛和牛のサーロインステーキ」のように具体的な食材名を挙げたり、温泉については、「源泉100%かけ流しの美肌の湯」のように泉質や効能をアピールしたりするなど、ユーザーが滞在をイメージできるような具体的な言葉で綴ることが重要です。

施設の立地や周辺観光、プラン特典なども漏れなく記載し、ユーザーの不安を解消し、期待感を高めましょう。

ポイント②写真を効果的に活用する

旅行という非日常体験を販売する上で、写真の力は絶大です。楽天トラベルでは最大30枚という多くの写真を掲載できますが、ユーザーが一度に目にするのはPCで4枚、スマートフォンで2枚程度です。そのため、最初の数枚に、客室からの絶景、自慢の料理、雰囲気の良い露天風呂など、最も訴求力のある「キラーショット」を配置することが極めて重要です。

写真は明るく、清潔感があり、プロが撮影したかのような高品質なものを用意しましょう。施設の魅力を凝縮した写真ギャラリーを作り上げることで、ユーザーの滞在意欲を強く刺激することができます

ポイント③特別感・お得感のある文言を入れる

無数に並ぶプランの中から自施設のプランを選んでもらうためには、プラン名でユーザーの注意を引く必要があります。「【楽天限定】」や「【タイムセール】」、「【室数限定】」といった限定性を打ち出す言葉は、ユーザーに「今予約しないと損をするかもしれない」という気持ちを抱かせ、クリックを促します。

また、「早割」「直前割」といったお得感や、「記念日を祝う特典付き」「絶景を独り占めする角部屋確約」のように、ターゲットと提供価値を明確にしたプラン名も効果的です。誰に向けた、どのようなプランなのかが一目で分かるように工夫しましょう。

楽天トラベルならではの集客施策

楽天トラベルの大きな魅力は、楽天経済圏の強みを活かした、ユニークで強力な集客施策が豊富に用意されている点です。これらを戦略的に活用することで、売上を飛躍的に伸ばすことが可能です。

楽天スーパーDEAL

楽天スーパーDEALは、宿泊料金の30%~40%という非常に高い還元率の楽天ポイントをユーザーに付与するプランです。

施設側がポイント原資を負担しますが、その分「ポイント高還元」を求めるユーザーに強くアピールでき、集客効果は絶大です。閑散期の稼働率アップや、新規顧客の獲得に特に有効な施策です。 

楽天スーパーセール

年に4回(3月、6月、9月、12月)開催される楽天グループ最大級のセールイベントです。この期間中はサイト全体のアクセスが爆発的に増加するため、セール価格の目玉プランやクーポンを提供することで、短期間に大量の予約を獲得できる可能性があります。

クーポン祭

楽天トラベルが定期的に開催するクーポン配布イベントです。施設側で割引額や利用条件を設定したクーポンを発行し、ユーザーに利用を促します。特定の期間や曜日の集客を強化したい場合や、特定のプランの販売を促進したい場合に有効な、柔軟性の高い施策です。 

5と0の付く日限定のクーポン

毎月5、10、15、20、25、30日は、高級宿や温泉宿で使える割引クーポンが配布される、楽天トラベルの人気キャンペーンです。この日に予約が集中する傾向があるため、自施設が対象となる場合は、この日に合わせて在庫を厚くしたり、魅力的なプランを前面に出したりするなどの対策が有効です。 

プリファードプログラム

楽天トラベルが設定する一定の基準(売上、口コミ評価など)をクリアした施設のみが参加できる優良施設向けのプログラムです。参加すると、検索結果での露出が増えたり、専用のクーポンが提供されたりと、様々な特典があります。プログラムへの参加を目指すこと自体が、施設全体のサービス品質向上につながります。 

ターゲティングバナー

楽天が保有する膨大なデータを活用し、特定のユーザー層(性別、年代、居住地、閲覧履歴など)に絞って、サイト上のバナー広告を表示させる手法です。自社宿泊施設のペルソナに合致する層へ的確にアプローチできるため、費用対効果の高い広告出稿が可能です。 

得旅キャンペーン

宿泊料金が10%以上OFFになるプランを集めた特集キャンペーンです。直前予約の需要喚起や、平日などの稼働率が低い日の穴埋めに効果を発揮します。「お得に泊まりたい」というニーズを持つユーザーに直接訴求できます。 

テーマページ広告

「露天風呂付き客室がある宿」「ペットと泊まれる宿」など、特定のテーマに沿った特集ページに広告を掲載するものです。自施設の強みと合致するテーマのページに出稿することで、そのテーマに関心を持つ、成約確度の高いユーザーにアピールできます。 

楽天カスタマイズページの作成

通常の施設紹介ページとは別に、最大10ページまで自由に作成できるオリジナルの特集ページです。施設の歴史やコンセプト、スタッフの想い、周辺の観光モデルコースなど、画一的なフォーマットでは伝えきれない深い魅力を発信することができます。施設のブランディングとファン作りに貢献する重要なツールです。

旅館・ホテル公式サイトにも力を入れる重要性

楽天トラベルでの売上を増やすために、意外と見落とされがちなのが、自社の公式ホームページの重要性です。多くのユーザーは、OTAで興味を持った施設を見つけると、次にその施設の公式ホームページを訪れて、より詳細な情報を確認するという行動をとります。

楽天トラベルのページでは、フォーマットの制約上、掲載できる情報量や表現方法に限界があります。

しかし、公式サイトであれば、デザインの自由度も高く、施設のコンセプトや世界観、独自のこだわりなどを、より深く、魅力的に伝えることが可能です。

もし、公式サイトの情報が古かったり、魅力に乏しかったりすると、ユーザーは不安を感じ、せっかく楽天トラベルで見つけてくれたにもかかわらず、予約に至らず離脱してしまうかもしれません。

逆に、公式サイトが充実していれば、ユーザーの信頼と期待感が高まり、安心して楽天トラベルに戻って予約をしてくれる可能性が高まります。楽天トラベルの売上を最大化するためにも、公式サイトを魅力的なものに仕上げ、情報発信の拠点としてしっかりと整備しておくことが不可欠なのです。

楽天トラベルを最大限活用した自社宿泊施設の売上を伸ばす

楽天トラベルは、楽天経済圏という強力なバックボーンを持つ、非常に優れた集客プラットフォームです。しかし、その力を最大限に引き出すためには、提供されている多種多様なツールやキャンペーンの特性を理解し、自館の課題や目標に合わせて戦略的に使いこなす必要があります。表示順位の指標を意識した日々の改善努力と、ユーザーの心を動かす魅力的なプランニング、そして効果的な販促施可の実行が、売上向上の鍵となります。

とはいえ、これほど多くの施策を分析し、日々の運営と並行して最適な手を打ち続けるのは、多大な労力と専門的なノウハウを要します。

もし、「楽天トラベルの運用方法が複雑でよく分からない」「自館に合った施策がどれか判断できない」「もっと効率的に売上を伸ばしたい」といったお悩みをお持ちでしたら、ぜひ一度、宿夢にご相談ください。

宿夢は、旅館・ホテル業界のコンサルティングを専門とし、OTA運用最適化において豊富な実績と知見を持っています。貴館の現状を丁寧に分析し、売上を最大化するための最適な戦略をご提案、その実行までを二人三脚でサポートいたします。

ホテル・旅館専門のコンサルティングなら株式会社宿夢

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コラム監修者

加藤大樹 kato daiki
取締役 副社長

<略歴>

  • 日本47都道府県制覇を5回達成した後、高級宿泊予約サイト「一休.com」に入社。
  • 旅館・リゾートホテルチームの営業と、バケーションレンタル事業の営業責任者を兼務し、ラグジュアリー領域を二刀流で経験
  • 2023年7月に株式会社宿夢の取締役副社長に就任。

弊社「宿夢」は、旅館・ホテル業界の課題解決に特化したコンサルティング会社として、業界の専門知識を活かし、宿泊施設の経営改善をサポートしています。
私たちの目指すのは、旅館・ホテル様それぞれが描く夢を実現すること。
そのために"宿のお困りごとは宿夢へ"をテーマに宿の総合商社を目指しております。

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