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2025.12.05

ホテルの利益率はどのくらい?計算方法や利益を高めるポイントを解説

ホテル経営では、売上の大きさだけでなく、最終的にどの程度の利益を残せているかを確認することが大切です。
同じ売上高でも、人件費や水道光熱費、OTA手数料などの負担によって利益率は変わります。

ただし、営業利益率とGOP率では、計算に含める費用の範囲が異なります。
本記事では、ホテルの利益率の目安や計算方法、利益率を左右する費用、ADR・OCC・RevPARとの関係、改善方法を解説します。

ホテルの利益率の種類と計算方法

ホテルの利益率には、営業利益率やGOP率など複数の指標があります。
どの段階の利益を使うかによって数値が変わるため、定義をそろえて分析することが大切です。
ここでは、代表的な2つの利益率と計算方法を解説します。

営業利益率は営業利益÷売上高で求める

営業利益率は、「営業利益÷売上高×100」で計算します。
例えば、売上高が1億円、営業利益が1,000万円なら、営業利益率は10%です。

営業利益には、人件費や広告費、減価償却費など、本業に関わる費用が反映されます。
そのため、営業利益率はホテル本業の収益性を見る際に役立ちます。
ただし、支払利息や税金などは反映されないため、最終的な採算を確認する際は経常利益や当期純利益も確認してください。

GOP率はGOP÷総売上で計算する

GOPは「Gross Operating Profit」の略で、ホテル運営から得られる利益を把握するための指標です。
一般的には、宿泊・飲食などの総売上から、各部門の費用や人件費、水道光熱費などの運営費を差し引いて求めます。

GOP率の計算式は「GOP÷総売上×100」です。
例えば、総売上が2億円でGOPが6,000万円なら、GOP率は30%となります。
賃料や減価償却費などの扱いは集計基準によって異なる場合があるため、比較するときは計算範囲をそろえましょう。

ホテルの利益率の目安はどのくらい?

ホテルの利益率に、すべての施設へ当てはまる一律の目安はありません。
施設タイプや立地、規模、所有形態、サービス内容によって収益構造が異なるためです。
以下では、利益率の数値を見る際に押さえておきたい考え方を解説します。

営業利益率とGOP率では目安となる数字が異なる

ホテルの利益率を調べると、10%前後や30%台など、幅のある数字が見つかることがあります。
これは、営業利益率とGOP率のように、計算段階の異なる指標が混在していることが一因です。

GOP率は、減価償却費や賃料などを差し引く前の段階で算出される場合があり、営業利益率より高くなる傾向があります。
宿泊主体型ホテルのGOP率を30%台程度とする業界解説もありますが、あくまで参考値です。
指標名と費用の集計範囲を確認し、自社の過去実績と比べて判断してください。

施設タイプによって利益率が異なる

宿泊主体型ホテルは、飲食や宴会部門が少なく、フルサービス型ホテルより運営構造がシンプルな傾向があります。
一方、シティホテルやリゾートホテルは、レストランや宴会、スパなどで売上を増やせる反面、人件費や原材料費もかかります。

土地や建物を保有しているか、賃借しているかによっても費用構造は変わります。
他施設と比較する場合は、立地や規模、サービス形態、所有形態が近いホテルを対象にすることが大切です。

関連記事:ホテルで活用できるマーケティング戦略7選&実際の成功事例について

ホテルの利益率を計算する方法

ホテルの利益率を分析する際は、まず何を利益として計算するかを決める必要があります。
営業利益率を見るなら「営業利益÷売上高×100」、GOP率を見るなら「GOP÷総売上×100」で計算します。
例えば、総売上2億円に対してGOPが6,000万円ならGOP率は30%です。
ただし、同じ施設でも減価償却費や賃料などを差し引いた後の営業利益率はさらに低くなります。
経営目的に応じて指標を使い分けてください。

営業利益率は営業利益÷売上高で求める

営業利益率は、本業による売上から売上原価や販売費、一般管理費などを差し引いた営業利益が、売上高の何%を占めるかを見る指標です。
例えば、売上高が5億円で営業利益が5,000万円なら営業利益率は10%となります。
営業利益にはホテルの人件費や広告費、減価償却費などが反映されるため、最終的な事業採算に近い収益性を確認できます。
ただし、施設の所有形態や会計処理によって費用構造が異なるため、単純比較には注意してください。

GOP率はGOP÷総売上で計算する

GOP率は、「GOP÷ホテルの総売上×100」で算出します。
例えば、宿泊や飲食などを合わせた総売上が3億円で、GOPが9,000万円ならGOP率は30%です。
GOPはホテル運営そのものの効率を確認しやすく、ADRやOCCを改善した結果が利益へつながっているか分析する際にも活用できます。
一方、賃料や金利、減価償却などがGOPの外側で扱われる場合があるため、ホテル事業全体の最終的な採算を確認するには別の利益指標も必要です。

ホテルの利益率を左右する主な費用

ホテルでは、客室が売れなくても発生する固定費と、稼働率に応じて増える変動費があります。
売上が伸びても、それ以上に費用が増えれば利益率は改善しません。
ここでは、ホテル運営で特に確認したい主な費用を解説します。

人件費

ホテルでは、フロントや清掃、予約管理、飲食など多くの業務にスタッフが必要です。
特に24時間対応の施設や、レストラン・宴会部門を持つ施設では、人員配置が複雑になりやすいでしょう。

予約状況に合わせて勤務人数やシフトを調整し、必要なサービス水準を保つことが大切です。
過度な人員削減は接客や清掃の品質を低下させ、口コミや再訪率へ影響する可能性があります。

関連記事:ホテル・旅館の業務効率化とは?進め方と実践的な改善施策を紹介

水道光熱費

客室だけでなく、ロビーや廊下、レストランでも空調や照明を使用するため、水道光熱費は利益率へ影響します。
大浴場や温泉、プールを備えた施設では、エネルギー使用量がさらに増えやすくなります。

LED照明や高効率空調への更新、利用状況に応じた設備制御などにより、削減余地を検討できます。
ただし、宿泊者の快適性を損なうような節電や空調制限は避けましょう。

OTAへの販売手数料

OTAは国内外の利用者へ客室を販売するうえで有効ですが、予約成立時には契約条件に応じた手数料などが発生します。
OTA経由の予約比率が高まると、契約内容によっては手数料負担が増える可能性があります。

一方、直接予約にも広告費や予約システムの利用料がかかるため、OTA比率だけで総コストの高低は判断できません。
チャネルごとの手数料、広告費、キャンセル率などを確認し、予約1件あたりの実質的な獲得コストを比較することが重要です。

関連記事:OTA依存から脱却!ホテル直予約で利益とファンを取り戻す方法

清掃費やリネン費

客室を販売すると、清掃やベッドメイク、タオル・シーツの交換、アメニティの補充などが必要です。
清掃を外部委託している施設では、委託単価の上昇も利益率に影響します。

清掃品質を維持しながら作業工程を見直すほか、連泊時の清掃方法を宿泊者が選べる仕組みを導入する方法もあります。
費用だけでなく、スタッフの負担や顧客満足度も含めて検討してください。

関連記事:ホテル・旅館の経費削減|削減できる経費10種類と注意するべき点

ホテルの利益率とADR・OCC・RevPARの関係

利益率を高めるには、費用管理に加えて客室売上を適切に伸ばす必要があります。
客室販売の状況は、平均客室単価を示すADR、客室稼働率を示すOCC、販売可能客室あたりの売上を示すRevPARで確認できます。
以下では、これらの指標と利益率の関係を解説します。

ADRを上げてもOCCが下がれば利益が増えるとは限らない

ADRは「客室売上÷販売客室数」、OCCは「販売客室数÷販売可能客室数×100」で計算します。
客室料金を引き上げればADRは上がりますが、価格が需要に合わなければ予約が減り、OCCが下がる可能性があります。

その結果、客室売上や利益が減る場合もあります。
ADRの上昇だけを成果とせず、OCCとRevPARの変化も確認し、単価と稼働率のバランスを判断することが大切です。

RevPARを利益までつなげられているか確認する

RevPARは、「客室売上÷販売可能客室数」または「ADR×OCC」で求めます。
客室単価と稼働率の両方を反映しますが、示しているのは売上であり、利益そのものではありません。

RevPARが上昇しても、OTA手数料や人件費、清掃費が大きく増えれば、GOPの伸びは限定的になる場合があります。
RevPARとGOP、GOP率を合わせて確認し、増えた客室売上をどの程度利益として残せたか分析してください。

ホテルの利益率を高める方法

利益率の改善では、値上げや経費削減のどちらか一方に偏らないことが大切です。
売上を伸ばす施策と、サービス品質を保ちながら費用を抑える施策を組み合わせる必要があります。
ここでは、ホテルの利益率を高める代表的な方法を解説します。

需要に合わせて客室料金を調整する

宿泊需要は、曜日や季節、周辺イベント、予約の入り方などによって変化します。
需要が高い日は客室料金を引き上げ、予約が弱い日はプランや販売チャネルを調整することで、RevPARを高められる可能性があります。

早い段階で満室になる日は、料金を見直す余地があるかもしれません。
一律の値上げや値下げではなく、ADRとOCCを確認しながら、客室売上と利益を確保できる価格帯を探してください。

公式サイトからの直接予約を増やす

公式サイトの予約導線を改善し、直接予約を増やせれば、OTA手数料の負担を抑えられる場合があります。
会員特典や公式予約限定のサービスを設け、直接予約を選ぶ理由を伝えることも有効です。

ただし、公式サイトにも広告費や予約システム費用がかかり、OTAには新規顧客との接点を広げる役割があります。
OTAからの集客を急に止めず、チャネルごとの獲得コストと予約数を比較しながら販売構成を調整しましょう。

人員配置や業務フローを見直す

人件費を改善する際は、スタッフ数を減らすだけでなく、重複作業や待ち時間がないかを確認します。
例えば、セルフチェックインを取り入れたり、PMSで予約・客室情報を一元管理したりすれば、転記や確認にかかる時間を減らせる場合があります。

システム化する業務と、スタッフによる対応が必要な業務を分けることが大切です。
接客品質への影響も確かめながら、運営効率を高めてください。

付帯サービスで宿泊者1人あたりの売上を増やす

朝食や飲食、レイトチェックアウト、館内サービスなどを提供すると、宿泊者1人あたりの売上を増やせる可能性があります。
客室料金を大幅に上げにくい場合でも、利用者が価値を感じる選択肢を用意すれば、収益源を広げられます。

ただし、サービスの提供には原価や人件費がかかります。
追加売上だけで評価せず、提供コストを差し引いた利益を確認し、収益に貢献するサービスを残しましょう。

関連記事:ホテルに「リピーター」の存在が重要な理由と獲得のための方法

ホテルの利益率を月次で分析する重要性

利益率は年に1回だけでなく、月次で継続的に確認することが大切です。
定期的に分析すれば、売上や費用の異常、施策の効果を早い段階で把握できます。
以下では、月次分析で確認したい2つの視点を解説します。

売上・GOP・GOP率をセットで確認する

売上が増えていても、GOPが同じ割合で増えているとは限りません。
値下げによって販売客室数が増えると、清掃費やリネン費、OTA手数料なども増えるためです。

月次では売上・GOP・GOP率をセットで確認し、前年同月や予算と比較してください。
GOP率が低下した月は費用を項目別に分け、どこで利益が減ったのかを特定すると改善策を考えやすくなります。

地域の宿泊需要と自社の実績を比較する

自社の利益率が低下していても、地域全体の宿泊需要が落ちている場合は、自社の施策だけが原因とは限りません。
反対に、地域需要が伸びているのに自社の売上が停滞していれば、価格や販売チャネル、サービス内容に改善余地があると考えられます。

観光統計や地域のイベント情報も確認し、自社のADR・OCC・RevPARと比較してください。
内部データと市場動向の両方を見ることで、課題の所在を判断しやすくなります。

まとめ|ホテルの利益率は売上とコストの両面から改善しよう

ホテルの利益率には営業利益率やGOP率などがあり、計算に含める費用が異なります。
一律の目安だけで判断せず、自社の過去実績や条件の近い施設と比較することが大切です。

利益率を高めるには、ADR・OCC・RevPARを確認しながら売上を伸ばし、人件費や水道光熱費、清掃費、販売手数料などを適切に管理する必要があります。
売上とコストの両面を月次で分析し、継続的に改善してください。

宿夢では、ホテル・旅館の収益改善や集客強化を支援し、ADR・RevPARなどの指標分析や販売戦略の見直しなど、施設ごとの課題に合わせたサポートを行っています。
利益率の改善や安定したホテル経営を目指している方は、ぜひ一度ご相談ください。

お問い合わせは下記より受付しています。

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コラム監修者

北村 遼 Kitamura Ryo
株式会社宿夢 COO

<略歴>

  • 上智大学を卒業
  • 大手企業向けERPシステムの開発・販売・サポートを行う企業に就職
  • 経営資源に関するノウハウを培った後に、高級宿泊施設の予約サイトを運営する「株式会社一休」に転職。高級旅館・ホテルを累計300施設以上担当。
  • 同時に、新サービス「一休.comふるさと納税」を2名で立ち上げ、初年度から事業の黒字化に成功。事業部長に就任し、事業をさらに急成長させた。

株式会社宿夢に参画してからは、1年で企業規模を倍にさせることに成功し、COOに就任。

<講演実績>

一般社団法人 日本ホテル協会 主催「第94回幹部育成セミナー」 に講師として登壇

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