- コラム
2025.07.31
じゃらんnetを活用してホテル・旅館の売上を増やすコツ

国内最大級のオンライン旅行予約サイト(OTA)である「じゃらんnet」。その圧倒的な知名度と集客力から、多くのホテル・旅館が重要な販売チャネルとして活用しています。しかし、ただ施設情報を掲載しているだけでは、無数の競合の中に埋もれてしまい、思うように売上が伸びないと悩んでいるオーナー様も多いのではないでしょうか。
じゃらんnetで売上を増やすためには、そのプラットフォームの特性と、検索結果の掲載順位が決まる「ロジック」を正しく理解し、戦略的にアプローチすることが不可欠です。闇雲に広告を出したり、プランを乱立させたりするのではなく、データに基づいた的確な施策を継続的に行うことで、初めてその効果を最大化できます。
本記事では、じゃらんnetの集客力の源泉から、売上を左右する掲載順位の仕組み、予約を増やすための広告施策やプラン作成の具体的なコツ、そしてじゃらんnetを活用する上でのメリット・デメリットまで、売上向上に直結するノウハウを徹底的に解説します。
じゃらんnetの集客力

じゃらんnetが持つ集客力の源泉は、その圧倒的な会員基盤と、幅広いユーザー層にあります。リクルートが運営する「Pontaポイント」との連携により、旅行だけでなく日常の買い物などでも貯まるポイントを利用できるため、多くのユーザーにとって魅力的なプラットフォームとなっています。
また、雑誌『じゃらん』との連動や、テレビCMによる大規模なプロモーションにより、若者からシニア層まで、あらゆる年代の旅行者に広く認知されています。家族旅行、カップル旅行、一人旅、ビジネス出張など、多様な旅行シーンに対応した特集やキャンペーンが常に組まれており、様々な目的を持つユーザーがサイトを訪れます。この強力な集客力を自施設の売上につなげるためには、じゃらんnetの仕組みを深く理解し、その中で自施設の魅力を最大限にアピールする努力が求められるのです。
じゃらんnetの掲載順位に影響する項目
じゃらんnetの検索結果における掲載順位は、「標準表示」と呼ばれる独自のアルゴリズムによって決定されています。
この順位は、ユーザーにとって利便性が高く、予約につながりやすい施設が上位に来るように設計されています。
つまり、掲載順位を上げることは、売上を増やす上で極めて重要です。ここでは、その順位に影響を与える主要な6つの項目について、それぞれ対策と共に解説します。
①過去1か月の予約売上
掲載順位に最も大きな影響を与えるのが、直近1か月間の予約売上です。じゃらんnet経由での売上が高い施設は、ユーザーからの支持が厚いと判断され、検索結果で上位に表示されやすくなります。
これは、プラットフォーム全体の利益に貢献している施設を優遇するという、ビジネスとして当然のロジックです。売上を上げるためには、客単価の高いプランや、連泊を促すプランの造成が有効です。また、後述する広告施策を適切に活用し、短期的にでも売上を伸ばすことで、掲載順位の向上という好循環を生み出すことができます。
②過去1年のクチコミ評価
予約売上と並んで重要なのが、過去1年間に投稿されたクチコミの評価(点数と件数)です。多くのユーザーは、予約を決定する際に他の宿泊者のリアルな声を非常に重視します。そのため、クチコミ評価が高い施設は、ユーザーにとって魅力的であると判断され、掲載順位が上がります。
高評価を得るためには、施設の清掃を徹底し、スタッフの接客レベルを向上させ、料理の質を高めるなど、宿泊体験そのものの価値を高める地道な努力が不可欠です。また、宿泊客にクチコミ投稿を依頼する声かけや、投稿されたクチコミへの丁寧な返信も、評価を高める上で重要なアクションです。
③今後6か月の在庫提供
じゃらんnetは、ユーザーが予約したいと思ったときに、いつでも予約できる状態を理想としています。そのため、今後6か月先まで、どれだけ多くの客室在庫を提供しているかも評価の対象となります。
特に、週末や祝日、連休といった需要の高い「ピーク日」に多くの在庫を提供している施設は、ユーザーの利便性に貢献していると見なされ、高く評価されます。できる限り先の期間まで、多くの部屋タイプとプランの在庫を登録しておくことが、機会損失を防ぎ、掲載順位を維持・向上させる上で重要です。
④過去1週間の全ルート経由のPV数
ここでのPV(ページビュー)数とは、じゃらんnetのサイト内だけでなく、GoogleやYahoo!などの検索エンジンや、他のWebサイトなど、あらゆるルートを経由して自施設のページが閲覧された回数を指します。
この数値が高い施設は、世間的な注目度や人気が高いと判断され、評価が上がります。PV数を増やすためには、自社の公式ホームページやSNSでじゃらんnetの掲載ページへリンクを貼ったり、後述する広告を活用したりすることが有効です
⑤ホテル・旅館の認知度
「認知度」は、じゃらんnetの検索窓で、施設名が直接入力されて検索された回数などによって測られます。いわゆる「指名検索」が多い施設は、ブランド力が確立されており、人気が高いと見なされます。
この認知度を高めるためには、じゃらんnetのサイト内での施策だけでは不十分です。テレビや雑誌、Webメディアへの露出を増やしたり、SNSでの情報発信を強化したりするなど、幅広いマーケティング活動を通じて、施設の知名度そのものを向上させる必要があります。
⑥過去1週間の施設のPV数
④の全ルート経由のPV数とは別に、じゃらんnetのサイト内で、自施設のページがどれだけ閲覧されたかも評価対象です。じゃらんnetのトップページや特集ページ、検索結果一覧などから、自施設のページへ遷移した回数が多いほど、ユーザーの関心を引いていると判断されます。
このPV数を増やすには、検索結果一覧で目を引くような魅力的な写真やプラン名を設定することが重要です。また、広告を活用して特集ページなどで露出を増やすことも、直接的なPV数増加に繋がります。
じゃらんnetで予約増に直結する広告施策

掲載順位を上げるための地道な努力と並行して、有料の広告施策を活用することで、短期間で露出を増やし、売上を大きく伸ばすことが可能です。じゃらんnetには様々な広告商品がありますが、ここでは特に予約増に繋がりやすい代表的な3つの広告を紹介します。
ユーザー連動広告
ユーザー連動広告は、じゃらんnetが保有する膨大な顧客データに基づき、特定の条件に合致するユーザーに対して、メールマガジンやダイレクトメール(DM)で自施設の情報を届ける広告です。
例えば、「過去1年以内に特定のエリアで宿泊したことがある30代女性」や、「ペット連れで旅行したことがある家族」といった形で、非常に細かくターゲットを絞り込むことができます。自施設の強みやプラン内容と親和性の高い層に直接アプローチできるため、高いコンバージョン率(予約率)が期待できる、費用対効果の高い広告手法です。
じゃらんフェス広告
「じゃらんフェス」は、じゃらんnetが年に数回、大規模に実施するセールイベントです。この期間中、サイトトップページや特設ページに広告を掲載することで、セールやクーポンを目当てに訪れる、購買意欲の非常に高い多くのユーザーに自施設をアピールできます。
イベント期間中はサイト全体のアクセス数が大幅に増加するため、短期間で施設の認知度とPV数を飛躍的に高めることが可能です。閑散期の集客や、特定の期間に売上を集中させたい場合に特に有効な広告と言えるでしょう。
ポイント特集広告
Pontaポイントの付与率を通常よりもアップさせる「ポイントアップ特集」などに広告を掲載する手法です。多くのユーザーは、少しでもお得に予約したいと考えており、「ポイント10%還元」といった訴求は非常に強力なフックとなります。
特に、ポイントの価値をよく知るリピーターやビジネスユーザーに対して高い効果を発揮します。広告費用に加えて、ポイントの原資も負担する必要がありますが、その分、競合施設との差別化を図り、予約の決め手とすることができる魅力的な施策です。
じゃらんnetの販促手数料
じゃらんnetを利用して予約が成立した場合、施設側はじゃらんnetに対して「販促手数料(送客手数料)」を支払う必要があります。この手数料は、予約されたプランの利用人数によって変動するのが大きな特徴です。
具体的には、2名以上で利用された予約の場合は宿泊料金の8%〜10%、1名で利用された予約の場合は6%〜8%が一般的な手数料率とされています。また、利用者がオンラインでカード決済を選択した場合には、宿泊料金に対して別途1.5%の決済手数料が発生します。
この手数料率は、他の主要なOTAと比較しても同等か、やや低い水準に設定されています。特に、カード決済手数料が他社よりも1%以上安いケースもあり、トータルで見た際のコストを抑えられる可能性があります。自施設の売上計画を立てる際には、この手数料を正確に織り込んでおくことが重要です。
じゃらんnetのプラン作成で意識したいポイント

じゃらんnetでユーザーの心を掴み、予約に繋げるためには、宿泊プランの作り込みが非常に重要です。単に料金と部屋タイプを提示するだけでは、自施設の魅力は伝わりません。
ここでは、効果的なプランを作成するための3つのポイントを解説します。
ポイント①案内文を詳細に書く
プランの案内文(説明文)は、ユーザーにプランの魅力を伝えるための最も重要なスペースです。じゃらんnetでは最大1,000文字まで入力できるため、このスペースを最大限に活用しましょう。
どのようなお客様に、どのような過ごし方を提案するプランなのかを具体的に記述します。例えば、食事の内容については、「地元の漁港で今朝水揚げされた新鮮な魚介類のお造り」や「A5ランクの黒毛和牛を使った溶岩焼き」など、五感に訴えかけるような表現を心がけます。また、施設のロケーションや周辺の観光情報、プランに含まれる特典なども漏れなく記載し、ユーザーが抱くであろう疑問に先回りして答えることで、安心感と期待感を醸成します。
ポイント②写真を効果的に活用する
ユーザーは文字情報よりも写真から多くの情報を得ます。プラン内容に合わせた魅力的な写真を設定することが、予約率を大きく左右します。
じゃらんnetでは、部屋ごとに最大7枚の写真を掲載できますが、検索結果の一覧で一度に表示される枚数はPCで4枚、スマートフォンでは2枚と限られています。そのため、特に最初の1〜2枚に、その部屋の最も魅力的なカット(例:窓からの絶景、特徴的な内装など)を設定することが重要です。
料理の写真であれば、シズル感のある湯気や彩りを意識し、温泉であれば、その開放感や泉質が伝わるような写真を選びましょう。明るく、清潔感のある高品質な写真を用意することが大前提です。
ポイント③特別感・お得感のある文言を入れる
プラン名は、ユーザーが最初に目にする情報であり、クリックされるかどうかを決定づける重要な要素です。数多くのプランの中から選んでもらうためには、一目で魅力が伝わるようなキャッチーな文言を入れる工夫が必要です。
例えば、「期間限定」「組数限定」「直前割」といった限定性や、「通常価格より20%OFF」「ポイント10倍」といったお得感を訴求する言葉は非常に効果的です。また、「記念日におすすめ」「絶景露天風呂をひとりじめ」のように、ターゲット顧客とベネフィット(得られる価値)を明確にすることで、自分向けのプランだと認識してもらいやすくなります。
じゃらんnetのメリット
じゃらんnetを主要な販売チャネルとして活用することには、多くのメリットがあります。ここでは、施設側から見た主な3つの利点を挙げます。
メリット①ユーザーの年齢層が幅広い
前述の通り、じゃらんnetは若者からシニア層、ファミリーからビジネス客まで、非常に幅広いユーザー層に利用されています。そのため、どのようなタイプの宿泊施設であっても、自施設のターゲットとなり得る顧客層にアプローチできる可能性が高いと言えます。ニッチなコンセプトの宿から、大型のシティホテルまで、それぞれの魅力を発信することで、適切なユーザーとマッチングできる懐の深さが、じゃらんnetの大きな強みです。
メリット②豊富なテーマの特集・広告が用意されている
じゃらんnetでは、季節ごとの特集(「夏休み特集」「紅葉露天風呂特集」など)や、特定のテーマに沿った特集(「ペットと泊まれる宿」「カップルにおすすめの宿」など)が年間を通じて数多く企画されています。
自施設の強みに合った特集に参加したり、関連する広告商品を活用したりすることで、そのテーマに関心を持つ、質の高い潜在顧客に効率的にアピールすることが可能です。これらの豊富な企画を戦略的に利用することで、集客の機会を最大化できます。
メリット③掲載ロジックが公開されている
じゃらんnetは、掲載順位を決定するアルゴリズムの主要な項目を、本記事で解説したようにある程度公開しています。これは他のOTAにはあまり見られない特徴であり、施設側にとっては非常に大きなメリットです。どのような努力をすれば掲載順位が上がるのかが明確であるため、目標を設定しやすく、具体的な改善アクションに取り組みやすくなります。スコアを上げるゲームのように、ロジックを意識しながら日々の運用を行うことで、着実に成果を積み上げていくことが可能です。
じゃらんnetのデメリット
多くのメリットがある一方で、じゃらんnetの活用には注意すべきデメリットも存在します。
まず挙げられるのが、競争の激しさです。国内のほとんどの宿泊施設が登録しているため、人気エリアでは常に厳しい価格競争や露出の奪い合いが発生します。
ただ掲載しているだけでは埋もれてしまい、売上を伸ばすためには、本記事で解説したような継続的な運用努力と、場合によっては広告費の投入が不可欠となります。
また、予約が成立するごとに販促手数料が発生することも、デメリットと捉えることができます。特に、じゃらんnetへの依存度が高くなりすぎると、支払う手数料の総額も大きくなり、施設の収益性を圧迫する可能性があります。
この手数料負担を軽減するためには、じゃらんnetをあくまで新規顧客獲得のための「入り口」と位置づけ、宿泊してくれたお客様に対しては、次回の予約を公式ホームページから直接行ってもらうよう促す施策(リピーター割引など)を併用することが重要です。
OTAと自社予約のバランスを取り、収益構造を最適化していく視点が求められます。
じゃらんnetを上手く活用すれば安定して売上を生み出すこともできる
じゃらんnetは、その集客力を考えれば非常に強力な販売チャネルですが、そのポテンシャルを最大限に引き出すためには、プラットフォームの仕組みを深く理解し、データに基づいた戦略的な運用を継続することが不可欠です。掲載順位の各項目を意識した日々の改善、ターゲット顧客の心に響くプラン作成、そして費用対効果を見極めた広告投資、これらを組み合わせることで、激しい競争の中から一歩抜け出し、安定した売上を確保することが可能になります。
しかし、日々の接客や施設運営に追われる中で、これらの専門的な分析や細やかな運用を常に行い、成果を出し続けることは容易ではありません。
もし、「じゃらんnetの運用にまで手が回らない」「何から改善すれば良いか分からない」「もっと効果的な打ち手を知りたい」といったお悩みを抱えていらっしゃるのであれば、ぜひ一度、私たち宿夢にご相談ください。
宿夢は、旅館・ホテル業界に特化したコンサルティングの専門家集団です。OTAの運用最適化はもちろん、貴館の根本的な魅力向上や収益改善まで、豊富な知見と実績に基づき、最適な解決策をご提案します。貴館の頼れるパートナーとして、売上向上の道のりを共に歩ませていただきます。
コラム監修者

<略歴>
- 日本47都道府県制覇を5回達成した後、高級宿泊予約サイト「一休.com」に入社。
- 旅館・リゾートホテルチームの営業と、バケーションレンタル事業の営業責任者を兼務し、ラグジュアリー領域を二刀流で経験
- 2023年7月に株式会社宿夢の取締役副社長に就任。
弊社「宿夢」は、旅館・ホテル業界の課題解決に特化したコンサルティング会社として、業界の専門知識を活かし、宿泊施設の経営改善をサポートしています。
私たちの目指すのは、旅館・ホテル様それぞれが描く夢を実現すること。
そのために"宿のお困りごとは宿夢へ"をテーマに宿の総合商社を目指しております。
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