• コラム

2025.05.02

ホテルが閑散期対策にできることは?おすすめのアプローチ方法を確認

閑散期はどうしても売り上げが落ちてしまいますが、何も対策を取らずにいると競合ホテルに大きな差をつけられてしまう恐れがあります。

ただ、具体的に何をすべきかわからないと悩んでいる方もいるでしょう。

そこで、閑散期に向けてホテルができる対策を知りたい方のため、おすすめの方法やどういったことに取り組んでおくべきか解説します。

具体的なアプローチ方法を知りたい、避けた方がよい施策について理解しておきたいといった方はぜひ参考にしてください。

改めて確認したい!ホテルの閑散期はいつ?

そもそも、ホテルの閑散期はいつなのでしょうか。

地域によって多少の差はありますが、基本的には以下の3つのタイミングが挙げられます。

1~2月

年が明けたばかりのタイミングである1~2月は、多くの地域にあるホテルで閑散期を迎えることになります。

以下のような理由によるものです。

【1~2月が閑散期である理由】

  • 年末年始にお金を使うことが多く、正月明けは財布の紐が堅くなっている
  • 冷え込む時期であり、目的によっては旅行に適さない
  • 雪が降りやすい地域は脚を運びにくくなる
  • 受験生やその親は受験に集中するタイミングにあたる
  • 年末年始の長期休暇が明けており、仕事が忙しい

ただ、雪に関するアクティビティが楽しめるスキー場近くのホテルなどは需要が高くなることもあります。

また、1月22日前後は旧正月にあたり、アジア各地からの旅行客は一時的に増加する傾向にあるといえるでしょう。

4月上旬

4月上旬といえば、新生活が始まるタイミングです。

この時期が閑散期となる理由として、以下のようなことが関係しています。

【4月上旬が閑散期である理由】

  • 旅行よりも自身の生活にお金を多く割く人が増える
  • 桜が散り始め、お花見目的の観光客が減る
  • 春休みとゴールデンウィークの間の時期にあたり、中途半端で旅行を検討する人が少ない

新生活を始める人にとって、4月上旬は非常にバタバタする時期です。

旅行や遠出などを検討している場合ではないと感じる方も多くいます。

このような理由から4月上旬はホテルにとっての閑散期といえるでしょう。

5月中旬~6月

新生活が徐々に落ち着いてくる5月中旬~6月はホテルも賑わいそうですが、閑散期と感じるホテルが多いといえます。

【5月中旬~6月】

  • ゴールデンウィーク中に旅行を済ませている
  • 6月は祝日がないため、旅行の予定を立てにくい
  • 梅雨の時期は雨が多いため旅行に適していない
  • 学校ではテストを含め本格的な授業が始まる

梅雨が長引くと、その影響を受けることもあります。

閑散期に向けてホテルができる対策

閑散期になってから慌てるのではなく、閑散期に備えた対策に取り組んでおきましょう。

普段から以下のようなポイントを検討しておくと、対策しやすくなります。

①新しいプランを提供する

これまで提供してきたのとは異なる、新しいプランを提供するのもおすすめです。

たとえば、閑散期は休みが取れない、忙しいなどの理由により大人数で旅行の予定を合わせるのが難しくなることもあります。

いつも一緒に旅行に出かけている人と予定が合わない場合は、このタイミングで1人旅を検討するケースも考えられます。

そのため、2名以上の利用を前提としているホテルでは、閑散期のみ1名で利用できるプランを作ってみるのも一つの方法です。

また、ワーケーションプランなども提供してみてはいかがでしょうか。

ワーケーションとは「ワーク+バケーションの造語」のことであり、普段のオフィスから離れリゾート地などで余暇を楽しみながら働くことをいいます。

提供するプランは、必ずしも宿泊を伴う必要はありません。

どのようなプランを提供すれば利用者が増えるのかを検討し、適切なプランを提案していく必要があります。

従業員も含めてどのようなプランであれば魅力的に感じてもらえるか話し合ってみてはいかがでしょうか。

②リピーターを増やす

新規顧客のみで売り上げを安定させていくことは難しいので、リピーターを増やすことは非常に重要です。

そのためにはホテルでの素晴らしい体験を提供することが欠かせません。

質の良いサービスを提供し、リピーターにつなげましょう。

また、リピーター優待に力を入れるのも効果的です。

以下のようなものがあります。

【リピーター優待】

  • 次回利用可能な割引券の提供
  • 会員ランク制度などの導入
  • お部屋の無料グレードアップ

次回利用可能な割引券などを提供することにより、お客様が旅行時にホテルを比較する際に、候補に挙がりやすくなるでしょう。

「毎回新しいホテルを楽しみたい」という方もいれば「一度利用していて使い勝手やサービスの質がわかっているホテルの方が安心」と感じる方も少なくありません。

また、自社ならではの特典を用意することで、さらに特別感を覚えてもらえるようになります。

たとえば、予約の際に得た顧客情報から誕生日が近いお客様に対し、誕生日プランへ誘導する連絡を行うのもよいでしょう。

その際、バースデー特典を案内しておくとより魅力的なプランに感じてもらえます。

誕生日にすてきなサービスや思い出を提供できると、毎年恒例のイベントとして自社ホテルを選んでもらえる可能性も期待できます。

特に閑散期に誕生日を迎えるお客様に対しては、積極的に誕生日プランを案内していきましょう。

③Webマーケティングの施策を見直す

繁忙期と比較して閑散期の売り上げが大幅に落ちている場合は、現在行っているWebマーケティングの施策に問題があることも考えられます。

たとえば、以下のものは適切に行えているでしょうか。

【見直したいポイント】

  • メルマガの配信
  • SNSでの情報発信
  • Web広告
  • 過去の宿泊者に対するEメールマーケティング
  • 公式サイトの定期的な更新
  • 口コミへの返信

口コミへの返信は少し手間がかかってしまいますが、非常に効果的な戦略です。

お客様がどのホテルに宿泊しようか考える際、価格や写真などの情報も参考にしますが、口コミの評価も重視しています。

どれだけ良いサービスを提供しても、残念ながら悪い口コミを寄せられてしまうこともあるでしょう。

ですが、ネガティブな口コミに対してなるべく早い段階で返信することで、それを見た人の印象が悪くなることを避けられます。

攻撃的になって反応するのではなく、改善に努めること、申し訳なく思っていることなどを冷静に伝えることが重要です。

適切な形でWebマーケティングの施策を行っていきましょう。

④積極的に情報を発信する

ホテルに関する情報配信は積極的に行うことが求められます。

お客様に喜んでもらえるようなメニューの開発やメニューを開発したり、すてきな思い出につながるようなイベントを開催したりしても、その情報が届いていなければ効果は期待できません。

近年はSNSで情報を収集する方が増えてきているので、まだ導入していない場合はSNSも活用していきましょう。

特にどのようなホテルでも似たような時期に閑散期を迎えることになりますが、競合のホテルより発信する情報量が少ないようだと、どうしても印象が薄くなってしまいます。

結果として競合のホテルにお客様が流れてしまうこともあるので、魅力的に感じてもらえるような情報を積極的に発信していきましょう。

⑤イベントやキャンペーンを開催する

ホテルに興味を持ってもらえるようなイベントやキャンペーンを開催するのも効果的です。

特別感を持ってもらえるようなキャンペーンを実施してみてはいかがでしょうか。

一例として以下のようなものがあります。

【イベント・キャンペーンの例】

  • 地元でのお祭り開催に合わせた浴衣の無料レンタル
  • 地元の旬の食材を使った特産品を楽しめる期間限定のフェア
  • ゲスト限定のワークショップを開催
  • 餅つきやホタルの観賞など、季節限定の体験イベント
  • SNS投稿キャンペーンや抽選に関する企画

工夫次第でさまざまなイベント・キャンペーンを実施できます。

宿泊券などを含めた抽選キャンペーンは、多くのホテルで実施している企画です。

その際、SNSのアカウントをフォローしたうえで応募してもらう形にすれば、フォロワーが増えるので大きな集客効果が期待できるようになるでしょう。

注意しなければならないのが、安易な値下げや値引きについてです。

利益につながらないばかりではなく、ホテルのブランディングに悪影響を与えてしまう恐れがあります。

値下げや値引きではなく、付加価値をプラスできるような方向で検討していきましょう。

⑥地域や周辺観光施設と連携する

ホテルで独自に行うイベントやキャンペーンだけではなく、地域や周辺観光施設と連携して取り組んでいくのも効果的です。

以下のようにさまざまなものが考えられます。

【連携して行う企画の例】

  • テーマパークと連携した宿泊パッケージプラン
  • ホテル近隣の温泉や飲食店で利用可能なクーポンの配布
  • レンタカーやレンタサイクルと宿泊のパッケージプラン

他のホテルと差をつけるポイントにもなります。

紹介したように、1~2月、4月上旬、5月中旬~6月はホテルにとっての閑散期です。

ですが、特に観光地の場合はホテルに人が集まらなければ観光施設も閑散期となります。

観光施設の中には自社だけでは対応できないと感じているケースも多いので、連携して行うイベントやキャンペーンの提案を受け入れてもらえる可能性は高いといえます。

提携して集客することでお互いにメリットがある施設に対し、魅力的な提案をしてみてはいかがでしょうか。

閑散期だからこそホテルが取り組んでおくべきこと

閑散期は宿泊客が減ることから、従業員の数も減らしてどちらかというとおやすみモードになっているホテルもあるでしょう。

ですが、ホテルの内側を整えるチャンスでもあります。

以下の3つの取り組みによってホテルとしての質の向上を目指しましょう。

掲示物などを最新情報に更新する

ホテル内にある掲示板などは最新の情報になっているか確認しましょう。

情報が古いものについては更新が必要です。

たとえば、情報が古くなりやすいものとして、以下があげられます。

【確認しておきたい情報】

  • 店内に掲示されているイベントの情報
  • 観光マップ
  • 食事のメニュー表
  • 館内案内
  • 客室内のパンフレット

店内に掲示されているイベント情報がすでに終了したイベントのものであった場合は、適切に管理されていない印象を与えてしまいます。

また、ホテルに設置された観光マップを参考に宿泊の翌日に足を運んでみたものの、すでに閉店・閉館していたといった場合もがっかり感につながってしまうでしょう。

同じく、メニュー表を参考に注文したのに「期間限定のメニューで今は提供していない」と言われてといったケースも考えられます。

ほかにも、客室内のパンフレットの情報が現在の正しい情報と異なるといったことがあると、信頼を損なうきっかけにもなります。

提示物だけではなく、ホームページやSNSで古い情報を発信していないかも確認しておきましょう。

従業員の育成を行う

従業員の育成には時間がかかるので、閑散期の間に進めておきましょう。

忙しい時期にはなかなかできず、後回しになっていた細かい接客マナーの研修などを実践してみてはいかがでしょうか。

従業員の質が上がることでホテルの顧客満足度向上が期待できます。

また、近年はインバウンドの影響で外国人旅行客が増えてきました。

外国語への対応などが不足していると感じる場合は、それらも含めて従業員の教育を行っていかなければなりません。

いつも以上に丁寧に接客する

閑散期に対応するお客様に対しては、いつも以上に丁寧に接客することが求められます。

繁忙期はお客様の数が多い関係もあり、なかなか一人ひとりに対して心のこもったサービスを提供するのが難しいこともあるでしょう。

一方、閑散期では繁忙期よりも会話を増やしやすくなります。

たとえば、お客様と話をする機会を増やして好みなどを聞き出し、それに合ったサービスを提供するのも良いでしょう。

特別な体験ができたお客様はリピーターになってくれる可能性も高まります。

質の高いサービスを提供することで良い口コミ投稿にもつながりやすくなるので、閑散期の接客サービスは非常に重要です。

閑散期に行うホテルのアプローチ方法

閑散期は、通常期や繁忙期以上に効果的なアプローチ方法を選択して実践していかなければなりません。

ここでは、おすすめのアプローチ方法を3つ紹介します。

可能であればすべて取り組んでいきましょう。

①ホテルのロケーションを売りにする

アピールポイントとして、ロケーション的な魅力があるホテルは非常に強いといえます。

たとえば、観光地に近い、駅に近いといった魅力がある場合は、ここをしっかりとアピールしておきましょう。

【ロケーションの魅力を活かしたアピールの一例】

  • 自然が楽しめる:癒し・リフレッシュを求める人に需要がある
  • 繁華街や駅に近い:ビジネスや観光の拠点として活用しやすい
  • 神社仏閣や歴史的な建物がある:写真や歴史好きな人の心に響く

すてきなロケーションの場合は、それらをSNSや公式サイトで発信することも重要です。

ホテルとしての魅力だけではなく、景観や周辺にどういった魅力があるのかを写真や動画でわかりやすく伝えましょう。

②世代別に適したプランを提供する

世代によって魅力的に感じるポイントは異なるので、世代別に適したプランを提供するのも効果的です。

たとえば、下のようなものが挙げられます。

【世代別プランの例】

  • ファミリー層:子ども向けのアクティビティや子どもからシニアまで楽しめる特典を提供
  • 学生:卒業旅行やゼミ合宿に適したプランを提供。学割があると注目されやすい
  • シニア層:量ではなく質にこだわった食事や、平日限定のお得プランを用意

ホテルのプランがたくさんあるとどれにしようか困ってしまうことがありますが、自分たちに適したプランがあれば選びやすくなります。

③宿泊以外の客層をターゲットにする

ホテルの閑散期対策といえば「いかにして宿泊客を増やすか」ばかり考えてしまいますが、宿泊以外の客層もターゲットにしていきましょう。

【宿泊以外の活用方法】

  • コワーキングスペースとして客室を貸し出す
  • 宴会場を会議室として貸し出す

1日利用する客数を増やせると、売り上げにもつながりやすくなります。

閑散期にホテルが避けたほうがよい施策

閑散期にホテルが避けたほうがよい施策として、まず必要以上に広告費をかけることが挙げられます。

閑散期に少しでも多くの宿泊客を獲得するため、さまざまな施策に取り組みたいと考えている方もいるでしょう。

ですが、休みを取りにくい、気候が旅行に適さないなどの理由から閑散期になっていることがほとんどです。

そのため、コストをかけて広告で宣伝をしたとしても大きな効果は期待できません。

無駄な費用だけがかかってしまう結果になる恐れもあるので避けておきましょう。

それよりも、自社のSNSやメールマガジンなどを活用し、費用をかけることなく宣伝につなげることをおすすめします。

他にもSEO対策や口コミへの返信などにも力を入れてみてください。

また、閑散期に限って値下げするのもよくありません。

安い宿としてのイメージが強くなるほか、その後、価格を上げるのが難しくなるためです。

値下げするよりもホテルの付加価値を高め、満足度向上に努めましょう。

ホテルの閑散期にできる対策はさまざま

ホテルが閑散期を迎えるタイミングや、売り上げを落とさないためにどういった対策ができるのかなどについて解説しました。

一方で、避けた方がよい施策についてもご理解いただけたのではないでしょうか。

閑散期だから仕方がないと考えるのではなく、できる対策に取り組んでいくことが重要です。

ホテルの経営について課題を抱えているのであれば、ぜひ宿夢までご相談ください。

宿泊施設のコンサルティングやデジタルマーケティングを行っており、ホテルの課題解決をサポートします。

各社に合わせて最適な戦略をご提案可能です。

旅館・ホテル専門のコンサルティングなら株式会社宿夢

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コラム監修者

加藤大樹 kato daiki
取締役 副社長

<略歴>

  • 日本47都道府県制覇を5回達成した後、高級宿泊予約サイト「一休.com」に入社。
  • 旅館・リゾートホテルチームの営業と、バケーションレンタル事業の営業責任者を兼務し、ラグジュアリー領域を二刀流で経験
  • 2023年7月に株式会社宿夢の取締役副社長に就任。

弊社「宿夢」は、旅館・ホテル業界の課題解決に特化したコンサルティング会社として、業界の専門知識を活かし、宿泊施設の経営改善をサポートしています。
私たちの目指すのは、旅館・ホテル様それぞれが描く夢を実現すること。
そのために"宿のお困りごとは宿夢へ"をテーマに宿の総合商社を目指しております。

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