• コラム

2025.02.21

ホテルブランディングの重要性と成功させるために必要な要素について

ホテルを経営している方に向けて、ホテルブランディングの重要性や成功させるために必要な要素・コツを解説します。

集客数を増やすために効果的なのがブランディングです。

しかし「どう進めていくべきなのか?」「成功するにはどうすべきか?」と疑問に思われていませんでしょうか?

ブランディングは長期的なスパンで実施していく施策であるからこそ、最初に正しいコツを掴んでおく必要があります。

そこで今回はホテルブランディング成功のためのコツを解説。

参考にしていただければ、どのようなことを意識し、どう進めていくべきかご理解いただけるはずです。

ホテルブランディングとは

ホテルのブランディングとは、ホテルのイメージを確立させ、競合との差別化を図ることを指します。

たとえば「景色がいいのは○○」「安く泊まるなら○○」「サービスの充実度なら○○」など、消費者にイメージを植え付けることです。

「○○と言えば…」と、ある条件で思い浮かぶホテルとして認識させるのがブランディングです。

ホテルブランディングが重要な理由

それではなぜホテルブランディングが重要なのでしょうか?

3つの理由について見ていきましょう。

理由1:売上を向上させるため

まずは売上を向上させる効果があることがあげられます。

ホテルブランディングに成功すると、自社ホテルの魅力をアピールしやすくなるはずです。

競合が周りにあったとしても、うまく魅力をアピールできるようになれば、自社を選んでもらえる可能性が高まるでしょう。

さらにブランディング効果が強力になれば、ホテルへの宿泊を目的とした旅行客が訪れることもあります。

ホテル自体が旅行の目的となれば、売上の向上が期待できます。

理由2:競合と差別化するため

競合との差別化がはかりやすいことも理由のひとつです。

ホテルブランディングをする過程において、必要となるのはホテルの独自性や価値。

ブランディングには、他社と差別化できる独自の強みが必要だからです。

ホテルの独自性や価値を考えたり、新たな魅力を作り出したりすると、競合との違いがはっきりとしてきます。

ブランディングを進めることで、競合との差別化につながる要素が生まれる可能性があります。

理由3:インバウンド対策になるため

ホテルブランディングはインバウンド対策としても効果的です。

外国人旅行客はSNSや口コミでの評判を見て、ホテルを決める傾向があります。

ブランディングをしているホテルはアピールポイントに一貫性があり、SNSでも信頼性が生まれるでしょう。

またホテルの魅力を口コミで紹介してもらいやすくなることもあります。

外国人旅行客は、日本人旅行客よりも宿泊日数が長い傾向があります。

売上にも直結するため、インバウンド対策としてのホテルブランディングはマーケティング面でも有効だと言えます。

ホテルブランディングを構成する要素

ここでは、ホテルブランディングを構成する3つの要素について解説します。

要素1:ストアブランディング

ひとつめはビジュアルイメージを作り出す「ストアブランディング」です。

見た目の印象に統一したコンセプトを持たせることです。

たとえば客室のインテリアにコンセプトをもたせたり、外観にこだわったりなどがあげられるでしょう。

ホテルをどのようにブランディングしたいかによって、ビジュアルイメージの方向性を決定してください。

ただしストアブランディングにはもうひとつの要素があります。

顧客とつながるコミュニティづくりです。

たとえばSNSを利用して、顧客と簡単にコミュニケーションを取れるようにするのもよいでしょう。

確固たるビジュアルイメージを作り出すこと、顧客とのコミュニティづくりを行うことがストアブランディングです。

要素2:エンターテイメントブランディング

エンターテイメントブランディングとは、宿泊客に楽しんでもらえるような取り組みを行うこと。

他のホテルにはない独自性の高い取り組みを行えば、エンターテイメントを通じてブランディングを成功させることも可能です。

たとえば個性的なアクティビティを開催したり、定期的に音楽イベントを開催したりなどが考えられます。

エンターテイメントブランディングに成功すれば、自社のホテルでしかできない体験を提供でき、差別化もはかりやすくなるでしょう。

宿泊客に楽しんでもらえるようなイベントや取り組みを考えてみてください。

要素3:プロダクトブランディング

自社ホテルが展開するグッズによって、ホテルの価値を作り出すのがプロダクトブランディングです。

ホテルのイメージに合うグッズやアメニティを販売することで、ファンやリピーターを獲得しやすくなります。

またホテルを利用したときのお客様満足度も高まるかもしれません。

持ち帰ることができるグッズを作れば、旅の思い出として保管してもらえ、ホテルを再び利用するきっかけにもなるでしょう。

ホテルオリジナルグッズは、ホテルのイメージに合うこと、「ほしい」と思ってもらえるような魅力があることが重要です。

アメニティグッズを作る場合は、質の高さを重視すると成功しやすいでしょう。

自社ホテルでのグッズ製作は、ホテルの付加価値を高めるだけでなく、競合との差別化にも役立ちます。

ホテルブランディングでやるべきこと

ホテルブランディングを行うなら、まずはどのようなことをすべきか、全体像を把握してから始めましょう。

やるべきことは次の5つです。

1.自社と競合の分析

まずは自社と競合の分析をすることから始めていきます。

ブランディングのために大切なのは、「自社の魅力を見つけること」と「競合との差別化を図ること」です。

そのためには自社と競合の強みと弱みを把握しなければなりません。

分析方法はさまざまにありますが、3C分析やSWOT分析が利用しやすいでしょう。

消費者目線で客観的にホテルを見れば、分析しやすくなります。

分析すべき点は、サービス、料金、立地などです。

そして競合と差別化できそうなポイントを探していきます。

ホテルブランディングでは自社ホテルに、他のホテルにはない魅力や価値を付加しなければなりません。

そのためには自社と競合を分析し、比較していくことが重要です。

2.ターゲットとする顧客の明確化

続いてはターゲットとする顧客を明確にしていきましょう。

どのような層にホテルを利用してもらいたいか、利用してもらえる可能性が高いかを絞り込んでいく作業です。

ターゲットによって、どのようなホテルとしてブランディングするかが決まります。

したがってホテルブランディングでは非常に重要な部分でしょう。

ターゲットを設定する際は、できるだけ具体的に決めることが重要です。

たとえば「30代のファミリー層」などでは漠然としすぎています。

年齢、性別、家族構成、職業、年収、趣味、休日の過ごし方などを細かく決めていくと、より効果的なブランディングが可能です。

「30代で世帯年収700万円、夫婦共働きで3〜5歳の小さな子どもがいる、休日は家族でアウトドアに出かけることが多い…」

設定できる要素はたくさんあります。

さまざまな観点から、ターゲットが実在する人物のように思い浮かべられるほど具体的に設定しましょう。

3.コンセプトの設計

ターゲットが明確になったら、コンセプトを設計していきます。

前段階で設定したターゲットは、どのようなホテルを選ぶでしょうか?

選ばれるホテルとなるためのコンセプトを設計しましょう。

たとえばひとつ前の項目でご紹介した、30代で夫婦共働き、3~5歳の子どもがいるファミリー層をターゲットとした場合で考えてみましょう。

休日は家族でアウトドアに出かけることが多いので、自然が豊かであることをアピールしたいところです。

小さな子どもが喜ぶようなサービスやアクティビティを展開することも効果的ではないでしょうか。

まだ30代の夫婦なので、インテリアや外観は現代的な方が良いかもしれません。

共働きで日々忙しくしているご夫婦が、ゆったりとくつろげるホテルであると選んでもらいやすくなるでしょう。

コンセプトの設計もできる限り細かなところまで設定してください。

ホテルブランディングでは、ターゲット設定とコンセプト設計が今後の方針を決める大きな要素となります。

4.施策の立案

次に行うのは施策の立案です。

コンセプト設計をもとにして、どのような施策を行っていくべきか決めてください。

施策を立案するときは、コンセプトやブランドのイメージを視覚化させることが大切。

ブランドは、視覚情報の影響を大きく受けるためです。

たとえばロゴや看板、宣伝用の画像・写真・動画、宣伝に使うときに使用する文字のフォントなども設定しておきましょう。

もし変更する必要があれば、ホテルの内容や装飾などもブランドイメージに合わせる必要があります。

施策の立案は、これまでに考えたさまざまな要素を基に、ホテルブランディングを実現させるための準備段階です。

慎重に計画を立て、実現を目指しましょう。

5.定期的な効果検証

施策を実践したら、定期的に効果検証を行ってください。

ホテルブランディングは一朝一夕で叶うものではありません。

消費者にイメージを認識してもらうには、施策の効果を検証し、改善しながら長期的なスパンで実践していく必要があります。

効果を検証すれば、改善すべき点が見えてくることもあるでしょう。

追加すべき施策が見つかることもあるでしょう。

効果検証と改善を重ね、ブランド力を高めていってください。

ホテルブランディングを成功させる要因

ホテルブランディングを成功させるには、以下の4つの要因が重要です。

要因1:従業員教育の徹底

ブランディングを成功させるには、従業員教育の徹底が欠かせません。

ホテルのブランドにおいて、従業員は重要な要素です。

最も大きい要素であると言っても過言ではないでしょう。

宿泊客と直接接し、サービスを提供するのは従業員です。

ブランディングの方針を決めるのは経営陣ですが、実際に影響を与えるのは従業員です。

従業員はホテルのイメージを左右する存在でもあるため、イメージを崩さないように教育を徹底するようにしてください。

要因2:根拠に基づく料金設定

ホテルブランディングにおいて重要となる料金設定は、根拠に基づいていなければなりません。

ただ安くすれば利用してもらえるわけではなく、付加価値に対して適切な料金に設定されていることがポイントとなります。

たとえばサービスが充実していれば、ある程度の料金であってもお客様満足度は高まるはずです。

サービスを目当てとしたときに、「それでも利用したい」と思える適正料金はいくらであるかを考えましょう。

宿泊料金を安くすることは、ホテルの価値を下げることにもなりかねません。

ホテルブランディングの方針に基づき、適正な料金設定を行うことが大切です。

要因3:SNSの活用

現代においては、SNSの活用はホテルブランディングに欠かせません。

SNSでは画像を投稿することができ、ビジュアルと文字の両方でホテルの魅力を発信できます。

さらに、リアルタイムでの発信が可能な点も強みです。

ブランドイメージとなる画像とともに、今開催されているキャンペーンの告知を行うのも容易であるのがSNS。

場合によっては情報の拡散力も高いため、より多くの閲覧者にホテルの魅力を届けられるかもしれません。

SNSの活用は、ブランディング・マーケティングの両方に大きな効果をもたらす可能性を秘めています。

要因4:ストーリーテリング

ホテルブランディング成功のためにぜひ取り入れていただきたいのがストーリーテリングです。

ストーリーテリングとは、ホテルを利用した宿泊客の体験談などを盛り込んだ説明のことです。

事例を盛り込むことにより、ストーリー性を持たせるとともに、消費者の共感を集められる手法です。

ホテル側がどれほど魅力を伝えても、やはり事実やデータを伝えるだけになってしまいます。

しかし宿泊客の体験談があれば、ストーリーが生まれるでしょう。

そこでストーリーに共感した消費者は、ホテルを利用したくなるかもしれません。

消費者は共感し、自分も感動を得られると感じたサービスを利用したくなる傾向があります。

ストーリーテリングは、ホテルのイメージを伝えるための有効な手法です。

パンフレットやウェブサイトで活用すれば、ホテルブランディングを推進しやすくなるでしょう。

要因5:エコフレンドリーなアメニティ

ホテルブランディングに必要な要素として、エコフレンドリーなアメニティを設置することも欠かせません。

最近ではSDGs活動が重視され、エコフレンドリーな取り組みが支持を集めています。

ホテルのサービスがいくら豪華でも、エコからかけ離れたアメニティを用意していては、宿泊客からの共感は得られないかもしれません。

そこで、エコフレンドリーなアメニティを導入しましょう。

良いブランドイメージを持ってもらうためには、エシカル消費を意識したアメニティを準備することが大切です。

ホテルブランディングを成功させるコツ

ホテルブランディングの進め方や成功させる要因について解説してきましたが、最後に成功させるための4つのポイントをご紹介します。

これまでの記事の内容を参考にすれば、ホテルブランディングの成功につながるでしょう。

コツ1:独自性を追求する

ブランディングを成功させるには、独自性を追求することが重要です。

数あるホテルの中で、自社ホテルを選んでもらえるだけの独自性がなければなりません。

デザインやサービスにこだわり、競合との差別化をはかることが独自性につながります。

コツ2:空間・体験・コンセプトにフォーカスする

空間・体験・コンセプトに注目することも、ホテルブランディング成功のためのコツです。

ホテルに宿泊することは、空間の中で非日常の体験をすること。

特別な空間で特別な体験ができるなら、競合との差別化をはかりやすくなるでしょう。

さらにコンセプトを明確にすることで、「自社ホテルにしかないもの」を伝えやすくなるはずです。

コツ3:すべての要素に統一感をもたせる

統一感をもたせることは、ブランディング全般におけるコツとなります。

たとえば看板がパステルカラーで、内装がシックな印象であればちぐはぐな印象になってしまいます。

ホテルに関わるすべての要素に統一感をもたせると、ブランディングを成功させやすいでしょう。

コツ4:従業員の理解と協力を得る

最後に、従業員の理解と協力を得ることを意識してください。

ホテルブランディングの計画を綿密に練ったとしても、従業員への周知ができていなければ、ホテルのイメージが崩れてしまうこともあります。

従業員教育を徹底して、細かなところまでブランディングのイメージを共有して理解と協力を得てください。

ホテルブランディング成功のためには慎重に計画を

いかがでしたでしょうか?この記事を読んでいただくことで、ホテルブランディングについてご理解いただけたと思います。

ホテルブランディングを成功させるには、慎重に計画を練って、効果検証と改善を重ねていくことがポイントです。

ホテルのコンサルティングを行っている「宿夢」では、ホテルブランディングはもちろん、撮影やアメニティ、集客までトータルでサポート。

さまざまな観点からの集客を支援しておりますので、ブランディングにお困りでしたらぜひお気軽にご相談ください。

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コラム監修者

加藤大樹 kato daiki
取締役 副社長

<略歴>

  • 日本47都道府県制覇を5回達成した後、高級宿泊予約サイト「一休.com」に入社。
  • 旅館・リゾートホテルチームの営業と、バケーションレンタル事業の営業責任者を兼務し、ラグジュアリー領域を二刀流で経験
  • 2023年7月に株式会社宿夢の取締役副社長に就任。

弊社「宿夢」は、旅館・ホテル業界の課題解決に特化したコンサルティング会社として、業界の専門知識を活かし、宿泊施設の経営改善をサポートしています。
私たちの目指すのは、旅館・ホテル様それぞれが描く夢を実現すること。
そのために"宿のお困りごとは宿夢へ"をテーマに宿の総合商社を目指しております。

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