• コラム

2025.07.31

ホテルの集客アイデア11選!閑散期も稼働率を上げるには?

インバウンド需要の回復や国内旅行の活発化を受け、ホテル業界全体が活気を取り戻しています。しかし、その一方でオンライン予約サイト(OTA)の普及による競争の激化や、季節によって需要が大きく変動する「閑散期」の存在など、安定した集客は多くのホテル・旅館にとって依然として大きな経営課題です。

「ハイシーズンは満室になるが、閑散期になると稼働率が著しく落ち込む」「周辺に新しいホテルができて、お客様が流れてしまった」「広告費をかけているのに、思うように予約が増えない」といった悩みを抱えるオーナー様も少なくないでしょう。

このような状況を打開し、年間を通じて安定した収益を確保するためには、時流に合わせた多角的な集客アイデアを戦略的に実行していく必要があります。

本記事では、すぐに実践できるオンライン・オフラインの集客方法から、閑散期でも顧客を惹きつけるための具体的な施策、そして集客戦略を成功に導くためのポイントまで、17のアイデアを網羅的に解説します。

ホテルの集客方法【オンライン編】

現代の旅行者の多くは、インターネットを使って情報収集や予約を行います。そのため、オンラインでの集客はホテル経営において最も重要な戦略の一つです。ここでは、デジタルを活用した7つの主要な集客方法を解説します。

ホテル予約サイトへの登録

楽天トラベルやじゃらんnetといったホテル予約サイト(OTA:Online Travel Agent)への登録は、多くのホテルにとって集客の基本となります。これらのサイトは圧倒的な知名度と集客力を持ち、登録するだけで多くの潜在顧客に自社宿泊施設の存在をアピールすることが可能です。

ただし、多くの競合施設も登録しているため、ただ掲載するだけでは埋もれてしまいます。魅力的な写真やキャッチコピーで施設の個性を伝え、季節ごとの特別プランやお得なクーポンを提供するなど、利用者の目を引く工夫が不可欠です。また、口コミは利用者の意思決定に大きな影響を与えるため、高評価を得られるようなサービスを心がけ、寄せられた口コミには丁寧に返信することが重要となります。販売手数料が発生しますが、それを上回る集客効果が期待できる強力なチャネルです。 

ホテル・旅行関連メディアへの掲載

OTAだけでなく、旅行情報に特化したWebメディアやインフルエンサーのブログなどに掲載してもらうことも有効な集客方法です。特定のテーマ(例:「絶景が楽しめる温泉宿」「ペットと泊まれるホテル」など)に沿って施設を紹介してくれるメディアであれば、そのテーマに関心を持つ、質の高い潜在顧客に直接アプローチできます。

メディアへの掲載には、広告として費用を支払う「記事広告」と、メディア側が取材に来て無料で掲載してくれる「純記事」の2種類があります。純記事として取り上げてもらうためには、メディア側が「面白い」「読者に伝えたい」と感じるような、独自性の高い魅力や話題性が必要です。後述するプレスリリースの配信などを通じて、積極的に情報発信を行いましょう。 

プレスリリースの配信

新しい宿泊プランの開始、館内施設のリニューアル、地元企業とのコラボイベントの開催といったニュースがある際には、プレスリリースを配信することで、多くのメディアに情報を届けることができます。プレスリリースとは、企業が報道機関に向けて発表する公式文書のことです。

配信されたプレスリリースがテレビ局や新聞社、Webメディアの記者の目に留まれば、ニュースとして取り上げられ、費用をかけずに大きな宣伝効果を得られる可能性があります。話題性の高い情報を継続的に発信することで、メディアからの注目度が高まり、取材依頼につながるケースも少なくありません。PR TIMESなどの配信サービスを利用すれば、手軽に多くのメディアへアプローチできます。 

リスティング広告・ディスプレイ広告の運用

より積極的に潜在顧客へアプローチしたい場合には、Web広告の活用が有効です。代表的なものに「リスティング広告」と「ディスプレイ広告」があります。

リスティング広告は、GoogleやYahoo!などでユーザーが検索したキーワード(例:「箱根 温泉 旅館」「京都 ホテル 家族向け」)に連動して表示されるテキスト広告です。旅行先や宿泊施設を探している、意欲の高い「顕在層」に直接アプローチできるため、予約につながりやすいのが特徴です。

一方、ディスプレイ広告は、Webサイトやアプリの広告枠に表示される画像や動画の広告です。ユーザーの興味関心や閲覧履歴に基づいて広告を表示できるため、まだ旅行の計画が具体的でない「潜在層」に対して、自館の魅力を視覚的に伝え、旅行意欲を喚起するのに適しています。 

SNSの運用

Instagram、X(旧Twitter)、Facebook、TikTokといったSNSの運用は、無料で始められる強力な集客ツールです。各SNSの特性を理解し、ターゲット顧客層に合わせた情報発信を行うことが重要です。

例えば、Instagramでは美しい客室や料理、絶景といった「映える」写真を投稿することで、視覚的に魅力を伝えられます。Xでは、キャンペーン情報や空室状況などをリアルタイムに発信し、ユーザーとの気軽なコミュニケーションを図るのに向いています。動画が中心のTikTokでは、館内をルームツアー形式で紹介したり、スタッフの日常を面白く見せたりすることで、若年層に親近感を持ってもらえます。継続的な発信でファンを増やし、公式ホームページへの誘導や直接予約につなげることが目標となります。 

ホームページの運用・SEO対策

公式ホームページは、OTAとは異なり販売手数料がかからないため、利益率の高い直接予約を獲得するための最も重要な拠点です。施設のコンセプトや世界観を自由に表現できるだけでなく、詳細な情報や独自のプランを掲載することで、OTA経由の顧客よりもロイヤリティの高いファンを獲得しやすくなります。

そして、ホームページへの流入を増やすために不可欠なのがSEO(検索エンジン最適化)対策です。「地域名+ホテル」や「目的+旅館」といったキーワードで検索された際に、自社のホームページが検索結果の上位に表示されるよう、サイトの構造やコンテンツを最適化します。

例えば、地域の観光情報を紹介するブログ記事を作成するなど、ユーザーにとって有益な情報を発信し続けることが、検索エンジンからの評価を高め、安定したアクセス獲得につながります。 

MEO対策

MEO(Map Engine Optimization)とは、Googleマップをはじめとする地図アプリ上での検索結果において、自社の施設情報を上位に表示させるための施策です。「近くのホテル」「渋谷駅 ホテル」のように、場所を含んだキーワードで検索するユーザーに対して効果的です。

具体的には、Googleビジネスプロフィールに登録し、施設名、住所、電話番号、営業時間といった基本情報を正確に保ち、魅力的な写真を追加します。さらに、宿泊客に口コミの投稿を促し、寄せられた口コミに丁寧に返信することで、Googleからの評価が高まり、マップ上での表示順位が向上します。スマートフォンで現在地周辺のホテルを探すユーザーが増えているため、MEO対策の重要性はますます高まっています。

ホテルの集客方法【オフライン編】

インターネットが主流の現代においても、地域に根差したオフラインでの集客活動は依然として重要です。特に、地元住民や近隣地域からの顧客、ITに不慣れな層へのアプローチに効果を発揮します。

地元のイベントへの参加

地域で開催されるお祭りや物産展、マルシェといったイベントにブースを出展することは、地元住民に対する絶好のPR機会となります。ホテルのレストランで提供している料理を販売したり、宿泊割引券が当たる抽選会を実施したりすることで、多くの人に自館の魅力を知ってもらえます。

イベントへの参加は、施設の認知度向上だけでなく、地域コミュニティの一員としての信頼を築く上でも重要です。地域との良好な関係は、地元住民からの紹介や、後述する地元企業とのコラボレーションにもつながり、長期的な資産となります。

観光案内所へのチラシの設置

駅や観光地の中心部にある観光案内所は、その土地を訪れた旅行者が必ずと言っていいほど立ち寄る場所です。ここに自館のパンフレットやチラシを設置させてもらうことで、宿を探している旅行者の目に直接触れる機会を得られます。

特に、旅行の計画をあまり立てずに訪れた個人客や、急な予定変更で宿を探している人に対して有効です。パンフレットには、館内の魅力的な写真だけでなく、地図やアクセス方法、当日予約の可否などを分かりやすく記載しておくことが重要です。観光協会などとの連携を深め、案内所のスタッフに自館の魅力を理解してもらうことも効果的です。

旅行情報誌や地元紙への掲載

特定の地域や旅行スタイルに特化した旅行情報誌や、地元住民に読まれているタウン誌・新聞などに広告を掲載する方法です。Webに比べて購読者層の属性(年齢、居住地、興味など)が明確であるため、ターゲットを絞ったアプローチが可能です。

例えば、シニア層向けの旅行雑誌であれば、バリアフリー対応や落ち着いた雰囲気の客室をアピールするなど、媒体の読者層に合わせた訴求を行うことで、高い反響が期待できます。オンラインでの情報収集をあまり行わない層にもリーチできる、貴重な手段の一つです。

地元企業とのコラボ

地元の他の企業や店舗と連携し、共同で新しいサービスや商品を開発することも有効な集客策です。例えば、近隣の観光農園と提携して「フルーツ狩り体験付き宿泊プラン」を作ったり、地元の酒蔵と協力して「利き酒イベント」を館内で開催したりといったアイデアが考えられます。

こうしたコラボレーションは、お互いの顧客層にアプローチできるため、単独で宣伝するよりも大きな相乗効果が期待できます。また、地域全体を盛り上げる取り組みとしてメディアに取り上げられる可能性もあり、施設のイメージアップにもつながります。「あの地域に行けば、こんな楽しい体験ができる」という動機付けを生み出すことができます。

ホテルの集客力を上げるためにおすすめの施策

集客チャネルを広げるだけでなく、顧客の予約体験を向上させたり、提供するサービスの価値を高めたりすることも、集客力を底上げする上で欠かせません。ここでは、既存の仕組みやプランを見直す6つの施策を紹介します。 

オンライン予約システムを最適化する

公式ホームページに設置されている予約システムが使いにくいと、予約をしようと思った顧客が途中で離脱してしまう「カゴ落ち」の原因となります。入力項目が多すぎる、空室状況が分かりにくい、スマートフォンの画面に対応していないといった問題がないかを見直しましょう。

誰でも直感的に操作でき、数ステップで予約が完了するような、ストレスのない予約システムを導入することが重要です。予約完了までのハードルを下げることで、直接予約の比率を高め、OTAに支払う手数料を削減し、収益性を改善することができます。 

キャッシュレス決済を導入する

現代では、クレジットカードや電子マネー、QRコード決済といったキャッシュレス決済が広く普及しています。特にインバウンド顧客にとっては、自国の通貨に両替する手間なく支払えるキャッシュレス決済への対応は、ホテル選びの重要な要素の一つです。

多様な決済手段を用意しておくことは、顧客の利便性を高め、機会損失を防ぐことにつながります。会計時のやり取りがスムーズになることで、フロント業務の効率化にも貢献します。まだ導入していない場合は、早急な対応が求められます。 

レベニューマネジメントを行う

レベニューマネジメントとは、需要の変動を予測し、それに合わせて宿泊料金を柔軟に変動させることで、収益の最大化を図る経営手法です。週末や連休、周辺でイベントが開催される日など、需要が高まる時期には料金を高く設定し、逆に平日のような閑散期には料金を下げて稼働率を確保します。

過去の宿泊データや競合ホテルの料金、季節のイベント情報などを分析し、最適な価格設定を導き出す必要があります。勘や経験だけに頼るのではなく、データに基づいた価格戦略を実践することで、年間を通じた収益の安定化と向上が期待できます。

新しいプランを作る

ありきたりな「素泊まりプラン」や「一泊二食付きプラン」だけでなく、顧客の多様なニーズに応えるユニークな宿泊プランを開発することも、集客の強力な武器となります。ターゲット顧客層のライフスタイルや興味関心を分析し、心に響くような体験価値を提供することが重要です。

例えば、「プロジェクター完備のシアタールームで過ごす“推し活”プラン」や、「地元の伝統工芸を体験できるワークショップ付きプラン」、「心身を癒すヨガリトリートプラン」などが考えられます。こうした独自性の高いプランは、価格競争から脱却し、特定の顧客層から熱烈に支持されるきっかけとなり得ます。 

既存顧客向けのイベントやキャンペーンを打ち出す

新規顧客の獲得には、既存顧客(リピーター)を維持するよりも5倍のコストがかかると言われています(1:5の法則)。安定した経営のためには、一度利用してくれたお客様との関係を維持し、再訪を促す施策が極めて重要です。

過去の宿泊者に対して、誕生日月に送る特別割引クーポンや、会員限定の先行予約プラン、リピーター限定の感謝イベントなどを企画します。CRM(顧客関係管理)ツールなどを活用して顧客情報を管理し、一人ひとりに合わせたアプローチを行うことで、「自分は大切にされている」という特別感を醸成し、長期的なファンになってもらうことを目指します。 

設備を整える

ホテルの設備は、顧客満足度を左右し、集客力に直結する重要な要素です。特に、現代の旅行者が重視するポイントを押さえた設備投資は効果的です。例えば、館内全域で利用できる高速Wi-Fiの整備は、ビジネス客や海外からの旅行者にとって今や必須の条件です。

また、ワーケーション需要に応えるためのワークスペースの設置や、長期滞在者向けのコインランドリー、健康志向の高まりに応えるフィットネスジムなども、競合との差別化につながります。すべての設備を一度に更新するのは困難なため、ターゲット顧客層のニーズを分析し、優先順位をつけて計画的に投資していくことが求められます。

ホテルの集客施策を考えるステップ

数ある集客アイデアの中から自館に合ったものを選び、効果的に実行するためには、戦略的な思考が不可欠です。ここでは、集客施策を考えるための基本的な3つのステップを紹介します。 

ステップ①現状を把握し、ホテルの弱みと強みを洗い出す

まずは、自館の現状を客観的に分析することから始めます。マーケティングのフレームワークである「SWOT分析」を活用し、「強み(Strength)」「弱み(Weakness)」「機会(Opportunity)」「脅威(Threat)」の4つの観点から自館の立ち位置を整理します。

「強み」は、絶景の露天風呂や受賞歴のあるシェフなど、競合にはない独自の魅力です。「弱み」は、駅から遠い、建物が古いといった課題点です。「機会」は、インバウンドの増加や近隣での大型イベント開催といった外部の好材料を指します。「脅威」は、競合ホテルの開業や円高によるインバウンドの減少といったリスク要因です。この分析を通じて、自社が持つアピールポイントと、克服すべき課題を明確にします。 

ステップ②顧客分析を行う

次に、どのようなお客様に来てほしいのか、メインターゲットとなる顧客像(ペルソナ)を具体的に設定します。年齢、性別、職業、居住地、家族構成といったデモグラフィック情報だけでなく、趣味やライフスタイル、価値観、旅行に求めることといったサイコグラフィック情報まで、詳細に描き出します。

例えば、「都内在住の30代夫婦。共働きで忙しい日々を送っており、週末は非日常空間でゆっくりと癒されたいと考えている。美食や質の高いサービスに関心が高い」といった具合です。ペルソナを明確にすることで、そのターゲットに響く宿泊プランや情報発信の方法が見えてきて、集客施策の精度を高めることができます。

ステップ③競合を分析する

自社の強みとターゲット顧客を明確にしたら、次は競合となる他のホテルを分析します。同じエリアや同程度の価格帯のホテルをいくつかピックアップし、それらの施設がどのような宿泊プランを提供しているのか、どのようなチャネルで情報発信しているのか、どのような点が顧客から評価されているのかを調査します。

競合の強みと弱みを把握することで、自社が取るべきポジショニングが明確になります。競合が手薄なサービス(例:ペット同伴、長期滞在向けサービスなど)を提供して差別化を図るのか、あるいは競合の強みに対抗できる、より魅力的なサービスを打ち出すのか、戦略を立てる上での重要な判断材料となります。

ホテルの集客を成功させる3つのポイント

集客施策を実行しても、思うような成果が出ないことも少なくありません。戦略を成功に導き、継続的な成果を上げるためには、
以下の3つのポイントを意識することが重要です。 

ポイント①定量目標・定性目標を設定する

集客施策を始める前に、具体的な目標を設定することが不可欠です。目標には、数値で測れる「定量目標」と、数値化しにくい「定性目標」の両方があります。

定量目標の例としては、「半年後の客室稼働率を10%向上させる」「公式ホームページからの直接予約比率を20%にする」「Instagramのフォロワー数を3ヶ月で1,000人増やす」などが挙げられます。

定性目標には、「地域で最も口コミ評価の高いホテルになる」「“癒し”を求める30代女性にとっての第一想起の宿になる」などがあります。具体的な目標を設定することで、施策の進捗状況を評価し、必要に応じて軌道修正を行うことができます。 

ポイント②適切に情報を発信する

顧客はその検討段階によって、求める情報や効果的なアプローチが異なります。旅行先や宿を具体的に決めていない「潜在層」と、すでに行き先を決め、どのホテルに泊まるか比較検討している「顕在層」に分けてアプローチを考える必要があります。

潜在層に対しては、SNSでの魅力的な写真投稿や旅行メディアでの特集記事を通じて、「この場所に行ってみたい」「このホテルに泊まってみたい」という興味を喚起することが有効です。

一方、顕在層に対しては、リスティング広告やMEO対策、OTA上でのプラン比較など、具体的な予約行動を後押しする情報提供が求められます。各チャネルの特性を理解し、ターゲットの段階に合わせた情報発信を使い分けることが重要です。

ポイント③リピーターを増やす

安定したホテル経営の基盤となるのは、リピーターの存在です。一度宿泊して満足した顧客は、再度同じホテルを選んでくれる可能性が高いだけでなく、知人におすすめしたり、ポジティブな口コミを投稿してくれたりする「歩く広告塔」にもなってくれます。

顧客満足度を高めるためには、快適な客室や美味しい食事といったハード面だけでなく、スタッフの心温まるおもてなしや、個々の要望に応える柔軟な対応といったソフト面が極めて重要です。「また来たい」と思ってもらえるような記憶に残る体験を提供し、前述したような既存顧客向けのキャンペーンなどを通じて、継続的な関係を築いていくことが、長期的な成功の鍵を握ります。

ポイント④閑散期への対策も考える

多くのホテルにとって、年間を通じての大きな課題は「閑散期」の存在です。ゴールデンウィークや夏休み、年末年始といったハイシーズンには満室になっても、それ以外の時期に稼働率が大きく落ち込んでしまっては、年間の収益を安定させることはできません。

集客戦略を立てる際には、ハイシーズンだけでなく、閑散期にどうやってお客様を呼び込むかを常に念頭に置く必要があります。後述するように、閑散期ならではの旅行ニーズを捉え、ターゲットを絞った特別なプランやイベントを企画することが、年間を通じた稼働率の平準化と収益最大化につながります。

閑散期に意識したい宿泊ニーズ

閑散期は、一般的な観光客が少なくなる一方で、特定の目的を持った旅行者にとっては、むしろ魅力的なシーズンとなり得ます。ここでは、閑散期の集客ターゲットとして注目すべき4つの宿泊ニーズを紹介します。

ウェルネス旅行

ウェルネス旅行とは、心身の健康増進や癒しを目的とした旅のことです。スパやヨガ、瞑想、健康的な食事などを通じてリフレッシュしたいというニーズは、季節を問わず存在します。閑散期の静かな環境は、こうした目的にまさに最適です。温泉やエステ、マッサージといった設備を活かし、「心と体を整えるデトックスプラン」や「専門家を招いたヨガリトリート」などを企画することで、健康志向の高い層を呼び込むことができます。 

ワーケーション

ワーケーションは、働きながら休暇を取る新しいワークスタイルです。Wi-Fi環境やワークスペースさえ整っていれば、場所を選ばずに仕事ができるため、混雑するハイシーズンを避けて閑散期に長期滞在するケースが増えています。高速インターネット環境の整備はもちろん、「仕事に集中できる個室付きプラン」や、「連泊割引プラン」、気分転換になるアクティビティなどを提供することで、新たなビジネス需要を開拓できます。 

定年後の団塊世代の旅行

時間的な制約が少ない定年後のシニア層、特に団塊世代は、閑散期における重要なターゲット顧客です。混雑を嫌い、ゆったりと旅行を楽しみたいというニーズが強いため、平日に旅行することが多いのが特徴です。

バリアフリー対応の客室や、体に優しい食事、文化的な体験プログラムなど、シニア層の関心に合わせたサービスを充実させることが有効です。同世代の友人同士のグループ旅行などをターゲットにしたプランも考えられます。 

ご褒美旅行

自分自身へのご褒美として、少し贅沢な旅行を楽しみたいという「ご褒美消費」のニーズも、季節を問わず存在します。特に、閑散期はハイシーズンに比べてお得な料金で高品質なサービスを受けられるため、狙い目と考える人もいます。

高級なアメニティを用意したり、シャンパンを特典として付けたり、レイトチェックアウトを可能にしたりするなど、「ちょっとした贅沢」を演出する特別プランを提供することで、個人客やカップルなどの需要を取り込むことができます。

宿泊以外でのホテル利用ニーズ

客室の稼働に頼るだけでなく、ホテルが持つ施設や空間を宿泊以外の目的で活用することも、収益源を多様化し、閑散期の売上を補う上で重要です。

ビジネスイベントでの利用

ホテルの宴会場や会議室は、企業の会議、研修、セミナー、展示会といったMICE(マイス)需要に対応できます。特に平日の昼間は、宿泊利用が少ない時間帯であるため、遊休資産を有効活用できます。高速Wi-Fiやプロジェクター、音響設備といったビジネスニーズに応える設備を整え、企業向けのパッケージプランを積極的に営業することが重要です。イベント参加者がホテルを認知し、将来の宿泊につながる可能性もあります。 

結婚式

結婚式(ウェディング)は、ホテルにとって大きな収益源の一つです。チャペルや神殿、披露宴会場といったハード面に加え、質の高い料理やサービスといったソフト面での強みを活かすことができます。ブライダルフェアを定期的に開催し、自館ならではのウェディングスタイルを提案することで、カップルに選ばれる存在を目指します。結婚式に参列したゲストが、その後の宿泊利用につながるケースも少なくありません。 

デイユース(日帰り入浴)

客室を宿泊ではなく、数時間の休憩場所として提供する「デイユース」プランも、新たな収益源となり得ます。テレワークの場所を探しているビジネスパーソンや、買い物の合間に休憩したい人、観光の拠点として荷物を置いておきたい人など、多様なニーズに応えることができます。また、温泉施設がある場合は、宿泊しない地元住民向けに「日帰り入浴」サービスを提供することも、地域貢献と収益確保の両面で有効な施策です。

ファンを獲得することがホテル集客のカギ

本記事では、ホテル・旅館の集客力を高めるための17の具体的なアイデアを、オンライン・オフラインの両面から、そして閑散期対策という重要な視点も交えて網羅的に解説しました。

競争が激化する現代のホテル業界で生き残り、成長し続けるためには、自館の置かれた状況を客観的に分析し、明確なターゲット顧客を設定した上で、戦略的に情報発信とサービス提供を行っていく必要があります。そして何より重要なのは、一度訪れてくれたお客様に「また来たい」と思っていただけるような、心に残る体験を創出し、リピーターという名のファンを増やしていくことです。

しかし、今回ご紹介したように、集客施策は多岐にわたり、その全てを自館のリソースだけで実行し、継続的に改善していくのは容易なことではありません。

もし、「何から手をつければいいか分からない」「自館の強みをどう活かせばいいか悩んでいる」「専門的な視点からのアドバイスが欲しい」といったお悩みをお持ちでしたら、ぜひ一度、宿夢にご相談ください。

宿夢は、旅館・ホテル業界に特化したコンサルティングのプロフェッショナルとして、数多くの施設の集客課題を解決に導いてきた実績があります。現状分析から戦略立案、具体的な施策の実行まで、貴館のパートナーとして伴走し、持続可能な成長を力強くサポートいたします。

ホテル・旅館専門のコンサルティングなら株式会社宿夢

Other topics

コラム監修者

加藤大樹 kato daiki
取締役 副社長

<略歴>

  • 日本47都道府県制覇を5回達成した後、高級宿泊予約サイト「一休.com」に入社。
  • 旅館・リゾートホテルチームの営業と、バケーションレンタル事業の営業責任者を兼務し、ラグジュアリー領域を二刀流で経験
  • 2023年7月に株式会社宿夢の取締役副社長に就任。

弊社「宿夢」は、旅館・ホテル業界の課題解決に特化したコンサルティング会社として、業界の専門知識を活かし、宿泊施設の経営改善をサポートしています。
私たちの目指すのは、旅館・ホテル様それぞれが描く夢を実現すること。
そのために"宿のお困りごとは宿夢へ"をテーマに宿の総合商社を目指しております。

Useful knowledge
Contact

無料相談承ります

  • WEB集客を図りたいがやり方がわからない
  • SNSの運用に人員と時間を割けない
  • アメニティを商品化したいが方法がわからない

こんなお悩みございましたら、まずは気軽にご相談ください。