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2025.05.02

ホテルの閑散期はいつ?売上を維持する対策と注意点を解説

ホテルの閑散期になると客室稼働率が落ち込み、売上が大きく減少する施設も少なくありません。 

閑散期のタイミングを正しく把握し、繁忙期に偏った収益構造を見直せれば、年間を通じて安定した経営に近づけます。 

この記事では、ホテルの閑散期がいつ訪れるのか、売上を維持するために取り組みたい対策、そして避けたい施策まで、宿泊施設の経営者・支配人向けに整理しました。 

ホテルの閑散期はいつ?基本知識 

ホテルの閑散期は1年に1度ではなく、年に数回訪れます。 

時期と背景を押さえておくことで、対策の優先順位を立てやすくなります。  

12月の正月明けは旅行需要が落ち着く 

例年、年末年始の長期休暇が明けた1月中旬から2月にかけては、多くの宿泊施設で稼働率が下がる時期です。 

理由は、年末年始の出費で家計が圧迫され、すぐに次の旅行を組みにくいためです。 

加えて、寒さや積雪で外出を控える層、受験を控えた家庭、新年度に向けて仕事が立て込む社会人など、旅行を後回しにする要因が重なります。 

ただし、スキー場周辺や温泉地、雪景色を目当てにした観光エリアでは、この時期がむしろ繁忙期になります。 

旧正月(春節)にあたる1月下旬から2月上旬は、中国・台湾・韓国などからの訪日客が増える時期です。 

インバウンド需要を取り込める立地であれば、稼働を底上げできる余地が残されています。 

5月下旬~6月のGW明けと梅雨シーズン 

ゴールデンウィーク明けの5月下旬から6月にかけても、宿泊需要が落ち込みやすい時期です。 

6月は祝日がなく連休を取りにくい上、梅雨入りで雨天が続くと、屋外観光を伴う旅行を避ける人が増えます。 

長期休暇から間もなく、家計面でも次の旅行を組みにくいタイミングです。 

一方で、紫陽花や蛍など梅雨期ならではの観光資源を持つエリアでは、テーマ性のあるプランで集客余地が残ります。 

雨天でも楽しめる屋内アクティビティ、館内ステイ型のプランを訴求するのも有効です。 

スパや温泉、ライブラリーラウンジを使った滞在企画は、雨天時でも顧客満足度を維持しやすい打ち手です。 

関連記事:ホテルブランディングの重要性と成功させるために必要な要素について

4月上旬や曜日による稼働の波 

4月上旬は新年度のスタートで生活が慌ただしくなり、桜のピークを過ぎた直後は旅行需要が一時的に落ち込みます。 

入園・入学・転勤など生活変化が集中する時期で、家計を旅行に回す余裕が生まれにくいのが背景です。 

曜日別に見ると、月曜日から木曜日の平日は予約が入りにくく、金曜日から日曜日に集中しやすい傾向があります。 

学校や仕事の都合で平日の旅行が難しい層が多いことが、平日と週末の落差を生み出しています。 

平日の閑散時間帯をどう埋めるかが、年間の客室稼働率を左右する論点です。 

ホテルの種類・立地で時期は大きく変動する 

紹介してきた時期はあくまで一般的な傾向であり、ホテルの種類や立地によって閑散期は大きく変わります。 

ビジネスホテルは、出張需要が高まる平日が稼働のピークで、土日祝や長期休暇は閑散期となるケースが多く見られます。 

リゾートホテルやシティホテルは、レジャー需要が中心となるため、平日や連休の谷間が閑散期です。 

立地面でも、ビーチリゾートは夏が繁忙期で冬が閑散期、スキー場周辺は冬が繁忙期で夏が閑散期と、季節要因が真逆になるケースもあります。 

自施設の過去3年程度の月別・曜日別の客室稼働率を分析し、自社固有の閑散期パターンを特定するところから対策を始めましょう。 

地域の観光協会が発表する宿泊統計や、競合施設の公開料金カレンダーも、需要の谷を読み解くうえで参考になります。 

閑散期に取り組みたい売上維持の対策 

閑散期の売上を底上げするには、需要を喚起する集客施策と、新たな顧客層を開拓する施策を組み合わせる発想が欠かせません。 

ここでは効果が出やすい4つのアプローチを紹介します。 

関連記事:ホテルの集客に効果的な面白いアイデア8選!注意点も確認

新しい顧客層に響く宿泊プランを設計する 

普段のメインターゲットとは異なる層に向けた宿泊プランの開発は、閑散期の有効な打ち手です。 

代表例は、テレワーク環境の整備と長期滞在割引を組み合わせたワーケーションプラン。 

平日中心に滞在する個人事業主や法人需要を取り込めます。 

シングルでも申し込みやすい一人旅プラン、地元食材を使った限定グルメプラン、伝統工芸や料理教室と組み合わせたワークショップ付きプランも有効です。 

体験価値を盛り込んだ設計が、顧客の心を動かします。 

ペット同伴可の客室を整備して新たな需要を獲得する施設も増えてきました。 

自施設の立地や強みに合わせたターゲット層の選び方が、プランの成果を左右します。 

季節限定の食材を活かした料理長監修ディナーや、地域の祭りに合わせた前夜祭プランなど、限定性と地域性を打ち出した企画が予約の決め手になります。 

リピーターへ特別な体験を届ける 

一般に新規顧客の獲得コストはリピーターへのアプローチコストより高い傾向があるとされ、既存顧客への働きかけは投資対効果の高い施策です。 

過去の宿泊履歴をもとに、閑散期限定の優待プランや会員ランク別のグレードアップ特典を案内することで、再訪を促せます。 

誕生日や結婚記念日など、個人の特別な日に合わせたパーソナライズドプランも有効です。 

口コミへの返信や宿泊後のお礼メールといった地道なコミュニケーションも、リピーター育成の土台になります。 

特に低評価レビューに誠実な改善コメントを返すと、新規閲覧者の予約率も改善しやすくなります。 

ロイヤルティプログラムを体系化し、来訪回数に応じた付加価値を提供する仕組みづくりが、長期的な顧客生涯価値の向上につながります。 

会員専用の先行予約枠や、年間利用額に応じた特典の格上げといったランク制度も、上位顧客の囲い込みに有効な手立てです。 

紹介プログラムを通じて既存顧客から新規顧客を呼び込めば、広告費を抑えつつ質の高い予約を増やせる二重のメリットがあります。 

関連記事:ホテルに「リピーター」の存在が重要な理由と獲得のための方法

デイユース・MICE・法人利用で稼働を補う 

宿泊客以外の利用を取り込めば、稼働率を大きく底上げできます。 

日帰り温泉プランやランチセット、レストランやスパの単独利用は、地元住民の固定需要を捕まえやすい施策です。 

会議室や宴会場を企業の研修や会議、展示会、いわゆるMICE需要に開放すれば、平日の稼働を埋める収益源になります。 

観光庁のMICE誘致拡大施策でも、地域の宿泊施設を活用した企業ミーティングの誘致が重点施策に位置づけられています。 

コワーキングスペースや結婚式の二次会、地域コミュニティのイベント会場としての貸し出しも、施設の多目的化を進める選択肢の一つです。 

地域連携プランや観光協会との共同プロモーションへ広げれば、地域全体の集客にも貢献できます。 

法人向けには年間契約や定期利用枠を設定し、月単位の安定収益を確保するアプローチも有効です。 

デジタルマーケティングを強化する 

閑散期の集客では、限られた予算を効率良く回すためにデジタル施策の使い分けが鍵となります。 

過去に公式サイトを訪れた検討層に対しては、リターゲティング広告で閑散期限定プランを再アプローチしましょう。 

InstagramやXなどのSNSでは、季節限定の景観や食事、体験を発信し、保存・シェアされやすい投稿を継続することで認知が広がります。 

ハッシュタグキャンペーンや宿泊券プレゼント企画と組み合わせれば、ユーザー投稿による拡散も狙えます。 

メールマガジンは、誕生月の特典や常連向けの先行案内など、パーソナライズされた配信が効果を発揮しやすい媒体です。 

過去の宿泊履歴や年齢・家族構成のデータを活用し、家族連れ向けと一人旅向けで配信内容を出し分けると開封率も高まります。 

レベニューマネジメントシステム(RMS)を導入すれば、需要予測に基づくダイナミックプライシングを実装でき、安易な値下げに頼らない収益最大化が見込める仕組みです。 

複数のOTAやチャネルマネージャーと連動させれば、空室状況と価格を一元管理でき、機会損失も抑えやすくなります。 

関連記事:ホテル・旅館がSNSマーケティングに取り組むべき理由と成功のポイント

閑散期だからこそ進めたい内部改善 

閑散期は売上を守る攻めの施策だけでなく、繁忙期には手が回らない業務改善を進める好機でもあります。 

時間に余裕のある時期にこそ、内部体制を整えて次の繁忙期の収益力を高めましょう。 

施設のメンテナンスとリニューアルを進める 

閑散期は宿泊客への影響を最小限に抑えながら、大規模な工事や設備更新を実施できる絶好のタイミングです。 

カーペットや壁紙の張り替え、空調設備の点検、客室アメニティの刷新、共用部の家具入れ替えなど、繁忙期では手をつけにくい改修を計画的に進めましょう。 

客室への充電コンセント増設や高速Wi-Fiの整備など、現代の旅行者ニーズに合わせたアップデートも検討に値します。 

中小企業庁の新事業進出補助金など、宿泊業向けの補助制度を活用すれば、自己負担を抑えてリニューアル投資を進められます。 

事業再構築補助金は2025年4月以降、新事業進出補助金へ後継されています。 

リニューアル計画は繁忙期に工事が食い込まないよう、工期に余裕を持たせて発注先と調整することが肝心です。 

スタッフ教育とインバウンド対応を強化する 

閑散期はスタッフ研修に時間を割ける貴重な時期です。 

接客やクレーム対応のロールプレイング、英語や中国語などの語学研修、新しい予約管理システムの操作トレーニングを組み込みましょう。 

繁忙期には実施が難しい体系的な学習を、閑散期に集中して進めるのがコツです。 

2024年の訪日外国人旅行者数は推計3,687万人と前年から約47%増え、過去最高を更新しました。 

インバウンド需要が拡大するなか、館内サインの多言語化、決済方法の多様化、文化的配慮への理解など、対応の幅を広げる取り組みが顧客満足度を左右します。 

繁忙期の混乱を避けるため、新システムの導入や運用ルール変更は閑散期のうちに完了させておくのが安全です。 

業務フローと固定費を見直す 

通常時は手をつけにくい業務プロセスの見直しも、閑散期に進めましょう。 

チェックインからチェックアウトまでの動線、清掃手順、予約受付フローを棚卸しし、無駄な作業を削減することで、繁忙期の人手不足を緩和できます。 

光熱費や仕入れ単価、サブスクリプション型のシステム費用といった固定費の契約条件を見直し、コストパフォーマンスの高いサービスへ切り替えるのも有効です。 

サイトコントローラーやPMS、清掃管理システムなどのDXツールを導入すれば、属人化していた業務を標準化でき、長期的な人件費削減と顧客対応品質の向上を両立できます。 

業務改善は数字で効果を測れるよう、見直し前後のKPIを設定してから着手するのがポイントです。 

人手不足が続く宿泊業では、閑散期に蓄えた改善資産が次の繁忙期の利益に直結します。 

閑散期対策で避けたいNG施策 

集客に焦るあまり、長期的にはマイナスとなる施策に手を出すケースも少なくありません。 

ここでは特に注意したい2つのNG施策を整理しました。 

安易な値下げは長期的な利益を損なう 

宿泊料金の大幅な値下げは、短期的には予約数を増やせるものの、ホテルのブランド価値を毀損する大きなリスクを伴います。 

「安いから泊まる」という顧客層が定着すると、通常料金に戻した際に客離れが起き、利益率の低下が続く悪循環に陥りがちです。 

競合と値下げ競争に巻き込まれれば、地域全体の客単価が下がり、サービス品質を維持する原資すら失われかねません。 

価格を下げる前に、付加価値で支払い意欲を引き上げる手段を検討しましょう。 

地元食材を使った限定メニュー、ホテル主催のワークショップ、温泉とディナーをセットにしたパッケージなどが代表的です。 

ダイナミックプライシングを活用すれば、需要が低い日に絞って価格を下げ、需要が戻ったタイミングで通常料金へ戻せます。 

ブランド毀損を抑えながら、集客と収益のバランスを取りやすい仕組みです。 

大量の広告投下は費用対効果が低い 

閑散期にWeb広告や紙媒体への出稿を増やしても、母数となる旅行需要そのものが少ないため、出稿費用に見合う成果は得にくくなります。 

新規層への認知拡大よりも、既に自施設を知っている層やファミリー層に絞った施策へ予算を振り分けるほうが効率的です。 

リターゲティング広告、SNSの自社運用、メールマガジンといった低コストの手段から優先度を組み立てましょう。 

広告効果の検証指標を社内で定め、CPA(顧客獲得単価)が想定値を超えた施策は早めに止める判断軸を持っておきましょう。 

紙媒体の地域広告を出稿するなら、観光客が直接目にする場所(駅構内・観光案内所・道の駅)に絞り、効果計測用のクーポンコードを必ず付けるのが効果検証の前提です。 

これら2つのNGを避け、前章で挙げた集客施策と内部改善に注力すれば、閑散期の収益基盤を着実に底上げできます。 

まとめ:閑散期は次の繁忙期に向けた仕込み期間 

ホテルの閑散期は1~2月、5月下旬~6月、4月上旬などに訪れますが、立地やホテルの種類によって時期は変動します。 

新しい顧客層へのプラン設計、リピーター施策、デイユースやMICEの取り込み、デジタルマーケティング強化を組み合わせ、売上を底上げしましょう。 

施設メンテナンスやスタッフ教育で繁忙期に向けた内部改善を並行して進めるのも肝心です。 

一方で、安易な値下げや大量の広告投下は、ブランドや収益を損なうリスクがある点に注意が必要です。 

自施設に最適な対策を組み立てるには、自社の稼働データと地域特性を踏まえた経営判断が欠かせません。 

通年の収益向上に向けた戦略を専門家と一緒に練りたい方は、ホテル・旅館コンサルティングを行う宿夢のサービスもぜひ参考にしてください。 

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コラム監修者

北村 遼 Kitamura Ryo
株式会社宿夢 COO

<略歴>

  • 上智大学を卒業
  • 大手企業向けERPシステムの開発・販売・サポートを行う企業に就職
  • 経営資源に関するノウハウを培った後に、高級宿泊施設の予約サイトを運営する「株式会社一休」に転職。高級旅館・ホテルを累計300施設以上担当。
  • 同時に、新サービス「一休.comふるさと納税」を2名で立ち上げ、初年度から事業の黒字化に成功。事業部長に就任し、事業をさらに急成長させた。

株式会社宿夢に参画してからは、1年で企業規模を倍にさせることに成功し、COOに就任。

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