• コラム

2025.12.05

ホテル経営に失敗してしまう原因は?成功に導くためのポイント 

ホテル経営は難しいため、期待した成果を得られずに苦戦するケースも少なくありません。

「経営を始めたものの利益が残らない」「稼働率が伸びない」といった悩みを抱える施設もあるでしょう。

特に周辺エリアに競合が多い場合、経営成功のハードルはさらに高まります。

そのような状況でもできる限り成功に近づけるためには、失敗に陥りやすい原因を理解し、対策を講じることが重要です。

ここではホテル経営が失敗に至る原因と、利益を出し続けるために押さえておきたいポイントを解説します。

この記事を読むことで、ホテル経営が失敗する原因とその対策がわかるようになります。

ぜひご覧ください。

ホテル経営の現状と今後の見通し

ホテル経営の現状を確認すると、新型コロナウイルス感染症の影響が落ち着きつつあり、インバウンド需要および国内需要の双方で回復が進んでいます。

そのため、市場全体としては、今後も明るい見通しが期待されています。

日本政府観光局の発表によると、2025年10月の訪日外客数は3,896,300人で、前年同月比17.6%増でした。

この数字は、過去最高であった2024年10月の記録を更新しています。

特に韓国、中国、台湾、香港、アメリカなどからの訪日外国人が多いとの結果です(※1)。

国内旅行についても、日本人国内旅行消費額は順調に伸びています。

国土交通省観光庁の発表によると、2025年7月-9月期の日本人国内旅行消費額は8兆536億円で、前年同月比9.0%増でした。

2023年の7月-9月期は6兆3,974億円であったことから、大きく伸びていることがわかります(※2)。

特にインバウンド需要の回復は著しく、今後も市場の活性化が期待されます。

一方で、需要が増えたからといって必ずしもすべてのホテルで利益を伸ばせるわけではありません。

明るい市場傾向に安心するのではなく、経営失敗のリスクが高まる要因を把握し、事前に対策を講じておくことが重要です。

(※1)

参考:(PDF)JNTO(日本政府観光局):訪日外客統計2025年10月推計値[PDF]

(※2)

参考:(PDF)国土交通省観光庁:旅行・観光消費動向調査2025年7-9月期(1次速報) [PDF]

ホテル経営で失敗に陥る原因

ホテル経営で失敗する原因は、一つではなく複数あるケースが多く見られます。

ある一つの理由だけで立ち行かなくなるというより、徐々に採算が取れなくなり、失敗してしまうケースが多いといえるでしょう。

そのため、ホテル経営の失敗を防ぐためには、どのような要因があるのかを理解し、一つひとつ対策を講じることが大切です。

ここでは、ホテル経営で失敗に陥る主な原因を9つ解説します。

ターゲットやコンセプトが不明瞭

特に大きな原因として挙げられるのが、ターゲットやコンセプトが不明瞭であることです。

たとえば「ビジネス客も観光客も、とにかく総合的に獲得したい」と考えると、結果的に無難で特徴が乏しく、顧客に選ばれにくいサービスになってしまいます。

ターゲット層を明確にしたうえでその人に響くようなコンセプトやプランを考えていくことが重要です。

競合との差別化不足

競合とどのような形で差別化をしていくのかも重要なポイントです。

たとえば、競合よりも価格設定を高くしすぎれば宿泊客が競合施設を選ぶ可能性が高くなります。

重要なのは、そのホテルでなければならない理由を作ることです。

独自サービスを導入する、あるいは他では体験できない高品質な接客を提供するなどの方法が考えられます。

魅力的に差別化できれば、競合よりも料金が高めでも一定の集客が期待できます。

時代に即していないサービスの提供

今の時代のニーズに合ったサービスを提供しましょう。

たとえば、今では多くの宿泊客が滞在中にインターネットを使用するので、無料Wi-Fi提供は多くの宿泊客が求める代表的な設備です。

また、モバイルチェックインに対応しておらず、手続きのために長時間並ばなければならないとなると、顧客満足度が低下するおそれもあります。

顧客がホテルに求めているニーズを理解し、それに応じたサービスを提供しましょう。

マーケティング戦略の欠如

マーケティングによって顧客に情報を届けることで予約につなげられます。

一方でマーケティング戦略が欠如している場合、どれだけ魅力的なホテルであっても、情報が届きにくく予約につながりにくくなります。

SNS運用、Web広告、旅行予約サイトでの魅せ方などを工夫し、効果的なマーケティングを実施することが重要です。

立地の悪さ

駅や観光地から遠く、不便に感じる立地では集客が難しくなる傾向があります。

送迎サービスを行うのも一つの方法ではありますが、そのためのコストがかかることを理解しておきましょう。

ターゲット層を明確にし、その層にとって利便性の高い立地を選定することが重要です。

過剰な設備投資

とにかく設備投資に費用をかければかけるほど、利益につながるとは言い切れません。

特に初期投資が高額になるとその回収が難しくなり、結果的に資金繰りが悪化してしまうこともあるでしょう。

また、高機能であってもターゲットと合わない設備を導入すると費用対効果が低下します。

顧客が何を求めているのかを慎重に判断し、本当に必要なものに優先順位を付けて導入しましょう。

コスト管理のミス

稼働率が高いもののなぜか利益率が低い場合、コスト管理のミスが発生しているおそれがあります。

特に注意すべき項目は、食材費・人件費・水道光熱費の3つです。

食材の在庫が余りすぎていないか、仕入れ先の価格設定に問題はないかなどを見直しましょう。

人件費削減のためには、適切な人員配置や業務の効率化を目指すことも重要です。

また、水道光熱費は季節によっても変化しやすいので、定期的にチェックし、改善策を立てましょう。

人材不足

ホテル経営において、人材不足に悩んでいる施設は少なくありません。

スタッフが不足すると、一人当たりの業務負担が増加し、サービスの質が低下しやすくなります。

人材不足が顕著な状態になってから対応を検討するのではなく、離職者が出そうな段階、出た段階で早期に対策を講じましょう。

また、スタッフの離職を防ぐため、定着率を高める取り組みを行うことも重要です。

顧客満足度の低下

顧客満足度が低下すると、クレームの増加や口コミでの評価低下につながります。

すると、それを参考にした人は別のホテルを選ぶようになるので、新規予約数が減少してしまうこともあるでしょう。

サービスの質の低さ、施設の不衛生さ、設備の老朽化など、マイナス評価につながる要素は多く存在します。

指摘やクレームがあった箇所は放置せず、迅速に対応することで顧客満足度の低下を防ぐことができます。

ホテル経営を成功させるためのポイント

では、ホテル経営を成功に導くためには、どのようなポイントに注目すべきでしょうか。

重要なのは、失敗の原因を正しく理解し、適切な改善策を講じることです。

安定した稼働率を実現するために特に重要といえるのが、以下の6つです。

マーケティング戦略を徹底的に考える

特に力を入れたいのが、マーケティング戦略の徹底です。

単にサービスの質が高く、魅力があるだけでは、ホテル経営が成功するとは限りません。

重要なのは、適切なマーケティング施策を実行することです。

近年はインターネット広告のほか、SNSや旅行代理店との連携など、さまざまな方法でマーケティングを行うホテルが増えてきました。

それなのに、自社サイトだけで情報発信を行っている場合、競合に比べて顧客への情報到達率が低下する可能性があります。

まずはターゲット顧客を確定し、オンラインとオフラインの両面からターゲット顧客に響くようなマーケティング施策を展開していくことが重要です。

販売機会損失を防ぐためにはOTAとの連携強化も欠かせません。

エリアを厳選する

ホテルを開業するエリアを慎重に選定することも重要です。

そもそも立地が悪く、人がほとんど来ないようなエリアを選定してしまえば、集客は非常に難しくなります。

一方で、立地条件が優れていれば、多少価格が高くても選ばれる可能性があります。

特に観光地までの動線がよかったり、周囲に利用可能な公共交通機関が数多くあったりする場合は高い需要が期待できます。

また、エリアとして魅力があるだけでなく、自社コンセプトと整合する立地の選定が重要です。

たとえば、アクティビティを中心とした分野に強みをもつのであれば、家族連れが集まるエリアを選ぶといった方法があります。

エリア選定を誤ると、後からの対策が難しいため、慎重に判断することが求められます。

不必要なコストがないか見直す

不要なコストがある場合、それを削減していくことも欠かせません。

特に注目したいのが継続して発生することになるランニングコストです。

たとえば、できる限り食材費が上がらないように細かく調整する、清掃外注費を見直すなどの方法が挙げられます。

この時、コストカットばかりを重視すると提供する料理やサービスの質まで落ちてしまうことがあるので注意しなければなりません。

無駄なコストを徹底的に把握し、継続的に見直していくことが重要です。

部屋に多くのアメニティを常備するのではなく、必要な分のみフロントで提供する、リネンサプライ業者を見直すなど、複数の方法が検討できます。

コストの見える化を継続的に実施し、改善すべきポイントを常に探しましょう。

適切な価格を設定する

ホテルの利益を左右する重要な要素の一つが、価格設定に関することです。

たとえば、それほど需要が高くないタイミングで価格を上げすぎると予約が伸びませんが、一方で低く設定しすぎると今度は利益が出にくくなります。

そこで、データを参照しながら価格設定の検討が重要です。

過去の季節・曜日ごとの需要データなどを調べ、適切な価格設定を判断します。

競合の価格帯を参考にしながらも、自社ならではの価値を把握し、価格設定を行っていくことが重要です。

人材の採用・教育に力を入れる

多くのホテルでは人手不足の影響を受けており、高品質なサービスを提供しようにもそれが難しいケースがあります。

そこで、採用活動に力を入れましょう。

また、同時にスタッフの教育を丁寧に行うことも大切です。

ホテル選びをする宿泊客の中にはSNSなどでの口コミを参考にしている方が多く、スタッフの質はホテルの評判に直結します。

スタッフの数が足りていない場合はサービス品質が低下するほか、教育が十分にできていない場合も同様にクレームなどのトラブルが発生しやすくなるので注意が必要です。

顧客満足度向上のためにも採用活動に力を入れること、既存スタッフへの教育をしっかりと行うことが求められます。

ホスピタリティの向上を目指す

どれほどホテルの設備が魅力的でも、スタッフの対応が不十分であったり、心配りが欠けていたりすると、顧客満足度の低下を招きます。

そこで、ホスピタリティの向上を目指すことも重要といえるでしょう。

気持ちよく滞在できるホテルは「またここに泊まりたい」という気持ちが生まれ、リピーターにつながります。

ウェルカムメッセージを添える、記念日に合わせたサービスを設けるなど、顧客への心配りを強化する方法があります。

スタッフ同士の連携体制を整え、すべてのスタッフがホスピタリティの意識をもって取り組むことも重要です。

ホテル経営失敗の原因を知り具体的な対策を講じておくことが重要

いかがだったでしょうか。

ホテル経営が失敗する原因と取り組みたい対策について解説しました。

失敗要因を放置すると、リスクが増大し、利益の向上が難しくなる可能性があります。

自社だけでの対応が難しいと感じた場合は、専門家の支援を活用することを検討しましょう。

旅館・ホテルのコンサルティング会社「宿夢」では、幅広い知見を活用したコンサルティング業務や各種情報提供・提案などを行っています。

経営状況が厳しく、早急な立て直しを検討している場合でも、ぜひご相談ください。

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コラム監修者

北村 遼 Kitamura Ryo
株式会社宿夢 COO

<略歴>

  • 上智大学を卒業
  • 大手企業向けERPシステムの開発・販売・サポートを行う企業に就職
  • 経営資源に関するノウハウを培った後に、高級宿泊施設の予約サイトを運営する「株式会社一休」に転職。高級旅館・ホテルを累計300施設以上担当。
  • 同時に、新サービス「一休.comふるさと納税」を2名で立ち上げ、初年度から事業の黒字化に成功。事業部長に就任し、事業をさらに急成長させた。

株式会社宿夢に参画してからは、1年で企業規模を倍にさせることに成功し、COOに就任。

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