- コラム
2025.12.05
サイトコントローラーとは?導入するメリット・デメリットと選び方
複数の予約サイトを運営する宿泊施設にとって、サイトコントローラーは重要なシステムです。
しかし「どのようなものかよくわからない」「導入について悩んでいる」という方もいるでしょう。
そこで、サイトコントローラーの導入を検討している方に向けて、メリット・デメリットおよび注意点を解説します。
この記事を読むことでサイトコントローラー導入前に押さえておきたいポイントがわかるようになるので、ぜひご覧ください。
目次
Toggleサイトコントローラーとは
サイトコントローラーとは、複数の予約サイトや自社予約システムにおける在庫および料金を一括管理するシステムを指します。
主に宿泊業界で活用されており、手作業と比較して在庫や料金の反映を自動化できる点が特徴です。
近年、自社予約システムだけでなく、じゃらんや楽天トラベルなど複数の予約プラットフォームを活用して集客する宿泊施設が増加しています。
しかし、各サイトで個別に在庫管理を行うと、実際にはすでに在庫がないにもかかわらず他の予約サイトでは予約ができる状態になってしまうことがあります。
手作業では更新の遅れや人的ミスが発生する可能性もあるでしょう。
結果としてオーバーブッキング(過剰予約)が発生し、クレームや返金対応に発展する可能性があります。
サイトコントローラーを活用することでこういったトラブルを未然に防ぎやすくなります。
PMSとの違い
サイトコントローラーと混同されやすいシステムとして、PMS(Property Management System)が挙げられます。
サイトコントローラーとPMSはいずれも宿泊予約を管理するシステムですが、その役割は異なります。
PMSの主な役割は、宿泊者の予約管理やチェックイン・チェックアウト対応、売上データ管理、予約データ分析など、フロント業務を幅広く管理します。
一方、サイトコントローラーは、インターネット上で宿泊施設の予約・販売を代行するOTA(Online Travel Agent)などの在庫や料金を管理するためのシステムです。
サイトコントローラーとPMSは、連携させることによってより業務効率化が目指せるようになります。
そのため、新規にサイトコントローラーを導入しようと考えている方はPMSと連携できる機能を搭載しているものを検討してみるとよいでしょう。
サイトコントローラーの主な機能
サイトコントローラーにはさまざまな機能が搭載されています。
主な機能は宿泊施設にとっての業務負担軽減につながるものです。
搭載されている機能は選択するシステムによって異なりますが、一般的には以下のような機能があります。
| 在庫管理
| 複数のサイトの在庫を同時に更新し、ダブルブッキングやオーバーブッキングなどの販売ミスを防げます。
最新の残室数は各販売先へ自動反映され、キャンセルが発生した場合は自動で再販されます。 なお、電話で受けた予約は自動的に反映されませんが、手動で調整できます。 |
| 予約管理
| 販売サイトや自社ホームページからの予約をまとめて管理します。
予約日や宿泊プランなどに関する情報を一覧で確認できることから、現状を正確に把握しやすい点が特徴です。 リアルタイムに予約状況を確認できます。 |
| 料金管理・更新
| 一度設定した料金を全ての販売先に一括で反映します。
手作業で各サイトを更新すると時間がかかり、ミスが発生するおそれもあるため、一括更新が可能な点は利便性につながります。 繁忙期や閑散期などに販売価格を調整することもできます。 |
| 顧客管理 | 宿泊者のデータを蓄積し、条件を指定して行う検索やリピーターの確認ができます。 |
| 販売データの分析
| 稼働・売上情報を可視化し、分析結果を確認できます。
販売戦略を考えるのにも役立つ機能です。 |
これらの機能により、これまで手作業で行っていた更新作業を自動で行えるようになります。
利用したい機能が搭載されているシステムか確認したうえで導入を検討しましょう。
サイトコントローラーを導入するメリット
サイトコントローラーを導入することにより、さまざまなメリットが期待できます。
複数の販売サイトを手作業で管理するのは簡単なことではありません。
更新が遅れると機会損失につながる可能性もあります。
導入による主なメリットから確認しておきましょう。
【メリット一覧】
- オーバーブッキング・ダブルブッキングのリスクを押さえられる
- 業務が効率化し作業時間の削減につながる
- スタッフの負担が軽くなる
- 効率的な料金設定ができるようになる
- 各種一元管理が可能になる
- 販路を拡大できる
サイトコントローラーを導入することにより、適切な在庫管理ができるようになります。
結果として、オーバーブッキングやダブルブッキングのリスクを抑制しやすくなる点がメリットです。
仮にオーバーブッキング・ダブルブッキングが発生してしまった場合、宿泊施設の評判を大きく落としてしまう可能性もあります。
補償や対応に追われることもありますが、そのリスクを減らせるのは業務上のリスク低減に役立つ点として注目したいポイントです。
また、業務が効率化することで作業時間が削減され、人的コストが減ることも期待できます。
スタッフの負担が軽くなれば、業務負担の大きさによる退職リスクも減るでしょう。
効率的な宿泊料金の設定ができるようになるので、収益改善に寄与します。
在庫管理・予約管理・料金設定の一元管理ができることや複数の宿泊予約サイトでの販売ができるようになることによる販路拡大も大きなメリットです。
サイトコントローラーを導入するデメリット
サイトコントローラー導入時に生じ得るデメリットについても理解しておくことが重要です。
特に注意して確認しておきたいのが、費用や運用に関するハードルです。
以下のようなデメリットがあります。
【デメリット一覧】
- 初期費用・月額費用が発生する
- 操作を習得する必要がある
- 必要な機能が搭載されていない可能性がある
- 不要な機能が多い可能性がある
- システム障害リスクがある
- サービスによってサポート体制が異なる
サービスに初期費用がかからないものもありますが、月額費用は必須です。
金額によっては負担に感じる場合があります。
システムを利用するスタッフは操作方法の習得が必要となり、教育に時間を要するケースもあります。
使い方が難しいサイトコントローラーを選択した場合は技術の習得までに時間がかかることを考えておきましょう。
他にも、システムによっては必要な機能が搭載されていなかったり、不要な機能が多かったりすることもあります。
事前にどのような機能が搭載されているのかを確認し、自社に合ったものの選択が重要です。
システム障害に関するリスクも確認しておきましょう。
仮にシステム障害が起こると、OTAとうまく連携できなくなり、オーバーブッキングや販売機会の損失につながるリスクがあります。
利用するサービスによってサポート体制が異なる点にも注意が必要です。
電話での問い合わせができなかった、なかなかつながらない、対応してもらえるまでに時間がかかるといったことも考えられます。
特に初めてサイトコントローラーを導入する場合は注意しておきたいポイントです。
サイトコントローラーを選ぶ際のポイント
サイトコントローラーには多くの選択肢があります。
ここではサイトコントローラー選びに関して判断基準となる5つのポイントについて解説します。
必要な機能は備わっているか
必要な機能が備わっているかは、必ず確認しましょう。
単純に多機能なシステムを選ぶと、自社にとって不要な機能が多い可能性もあります。
そのため、自社課題の解決につながる機能が搭載されているか確認しておきましょう。
不要な機能が多く、それによって料金設定が高額になっているシステムを選んでしまうとコストが圧迫されてしまいます。
まずはどのような機能が必要か考え、条件を満たすシステムを候補として選定しましょう。
自社の宿泊施設の規模に合ったシステムか
小規模宿泊施設と大規模宿泊施設では、導入すべきサイトコントローラーが大きく異なります。
小規模宿泊施設であればシンプルな機能で問題ない場合もありますが、大規模宿泊施設では高速で安定した反映が行えるものや高度な機能を有しているサイトコントローラーが必要です。
宿泊施設の規模に合わないシステムを選ぶと、操作性に課題が生じる可能性があります。
サポート体制・セキュリティ体制が整っているか
サポート体制については、対応可能な時間帯や対応スピードを確認しておきましょう。
平日しか問い合わせに対応していなければ、週末のトラブルに対処できません。
どれほど迅速な対応が可能か、またマニュアルやオンラインヘルプが用意されているかは、よく確認しておきたいポイントです。
また、不正アクセスや顧客情報の漏えいのリスクを防げるセキュリティ性能を有しているかも確認しましょう。
信頼性の高いサービスを選択することが重要です。
システム連携数は多いか
OTAやPMS、その他の周辺システムとの連携が可能かどうかの確認は必須です。
PMSと連携可能なサイトコントローラーであれば、PMSのデータと連動した予約管理が可能となり便利です。
また、近年はインバウンド需要が増加しているので、海外OTAとの連携に対応しているかも確認しておきましょう。
利便性の高いシステムか
画面のレイアウトが直感的で操作がしやすく、利便性の高いシステムを選びましょう。
また、予約状況や在庫数を一覧表示できる機能があるかも確認が必要です。
特に、スタッフの操作ミスを防ぎやすく、直感的でわかりやすいシステムを選定することをお勧めします。
サイトコントローラーを導入する際の手順
サイトコントローラーを導入する際は、以下のような手順で進めていくことになります。
【導入手順一覧】
- 現状の課題を整理する:在庫管理の負担やミスの発生状況を明確にする
- サイトコントローラーの選定と契約:自社の経営スタイル・予算に適した製品を選び、契約する
- 初期設定:宿泊施設の情報登録やプラン・料金を設定する
- スタッフ教育:対応する全員で、操作方法とトラブル対応を学ぶ
- テスト運用:実際に外部連携や予約反映を試し、問題点がないか確認する
- 本格運用の開始:登録している予約システムを連携させ、本稼働させる
- トラブルシューティング:問題発生時はサポートの指導を受けながら運用する
ただし、サイトコントローラーを契約しただけでは、必ずしも効果的な運用が可能になるわけではありません。あらかじめ運用戦略を立て、それを正確に反映させることが必要です。
サイトコントローラーを導入する際の注意点
サイトコントローラーを導入する際は注意点も押さえておく必要があります。
特に重要なのは以下2つのポイントです。
教育体制を整えておく
特にスタッフ教育はその後のトラブルを避けるためにも重要な工程なので、時間をかけて行いましょう。
さまざまな機能を備えたシステムは便利に思える一方で、操作が複雑に感じられることもあります。
担当者が使いこなせなければ、便利な機能も十分に活用できません。
使いやすいシステムを選ぶことで教育にかける時間の節約にもつながります。
契約条件をきちんと確認する
契約内容の確認も欠かせません。
初期費用や月額費用に関することだけではなく、オプション費用などもチェックしておきましょう。
また、解約条件も重要です。契約期間中に解約を希望する際に発生する解約金の有無や金額についても事前に確認しておく必要があります。
サポート体制の詳細も確認しておきたいポイントです。
緊急時に迅速なサポートを受けられるかどうかも確認しておきましょう。
おすすめのサイトコントローラー5選
サイトコントローラーには種類が多く、導入すべき製品を選定する際に迷う宿泊施設も少なくありません。
ここでは、導入実績が豊富で信頼性の高いサイトコントローラーを5つ紹介します。
各サービスは特徴が異なるため、自社に適した製品を選定する際には、それぞれの特徴をよく確認することが重要です。
Beds24(ベッツ24)
Beds24(ベッツ24)は、民泊やホテルを対象としたサイトコントローラーです。
他のサービスでは別途追加料金が発生することもある「サイトコントローラー・PMS・予約エンジン」のすべての機能が、料金に含まれています。
また、直感的なデザインが採用されていることから、目で見て操作がわかりやすいのも特徴です。
1か月間の無料体験が可能ですので、実際に使用して使い心地を確認したうえで契約を検討できます。
プランは「手間いらず自動」「手間いらず.NET2」「手間いらずmini」の3種類があり、「mini」以外の利用料金については問合せが必要です。
|
初期費用 |
なし |
|
月額費用(税不明) |
一棟貸切・ヴィラ:3,960円 |
|
サポート |
電話・メール |
TEMAIRAZU(手間いらず)シリーズ
TEMAIRAZU(手間いらず)シリーズは、国内の宿泊施設で広く利用されているサイトコントローラーです。
国内OTAとの連携に強い特徴を持っています。
また、サポート体制が手厚く、マニュアルが用意されているのはもちろん、カスタマーサポートや導入時の支援も充実しているサービスです。
初めてサイトコントローラーを導入する予定で不安を感じている方にとっての選択肢にもなるでしょう。
RMS(レベニューマネジメントシステム)とデータ連携も可能です。
| 初期費用(税別) | 38,000円 ※手間いらずmini |
| 月額費用(税別) | 1~4部屋:9,600円 5~9部屋:12,600円 10部屋以上:16,600円 ※手間いらずmini ※ 1施設当たりの月額料金(税別)です。 ※ 別途、予約1件ごとに従量制料金がかかります。 |
| サポート | 電話・メール |
TLリンカーン
TLリンカーンは、全国のホテル・旅館で導入されてきた老舗のサイトコントローラーです。
画面設計がシンプルであるため、直感的に操作できるシステムといえます。
管理する販売先が増えるほどオーバーブッキングの発生リスクがありましたが、予約の確定と在庫の引き落としが同じタイミングで実施される「共通在庫サービス」によりオーバーブッキングの低減が可能です。
複数の宿泊予約サイトの管理が手軽に行えます。
| 初期費用(税不明) | フルサービス:100,000円 旅行会社管理機能限定版:100,000円 ネット販売管理機能限定版:100,000円 |
| 月額費用(税不明) | フルサービス:30,000円~ 旅行会社管理機能限定版:15,000円~ ネット販売管理機能限定版:15,000円~ |
| サポート | サポートセンター・オンラインセミナー・オンラインFAQ・メールなど |
ねっぱん!
ねっぱん!は、国内はもちろん海外を含めた主要OTAと連携しているサービスです。
発生した予約は即座にシステム内に反映されて一覧で確認できます。
特にゲストハウスや小規模の宿泊施設に向いているシステムで、基本料金の範囲内でさまざまな機能を使用できるのが特徴です。
ノーショー(予約の無断キャンセル)対策として、宿泊施設のキャンセルポリシーに則ったキャンセル料金をシステムが自動徴収できる機能を搭載しています。
| 初期費用(税込) | 55,000円 |
| 月額費用(税込) | 5室以下:6,600円 6室以上:10,780円 |
| サポート | カスタマーサポートを用意 |
CheckInn(チェックイン)
CheckInn(チェックイン)は、サイトコントローラー・PMS・自社予約システムが一体となったオールインワンシステムです。 1つのシステムで、宿泊施設の運営に必要な機能を総合的に備えています。
初期費用が無料であるうえ、各システムを個別に契約する必要がないため、コスト削減にもつながります。
単なる在庫管理を目的とするのではなく、業務全体の効率化を目指したい施設に適しています
。
| 初期費用 | なし |
| 月額費用(税込) | 月額タイプ:10,000円 年契約タイプ:102,000円 |
| 予約手数料(税込) | 従量課金型または定額課金型 ■従量課金型 宿泊料金の3%(予約ごとの手数料) ■定額課金型 ~20室:9,800円/月、98,000円/年 ~50室:12,800円/月、128,000円/年 ~100室:15,800円/月、158,000円/年 |
| サポート | カスタマーサポートを用意 |
自社に合ったサイトコントローラーを選択することが重要
いかがだったでしょうか。
本記事では、宿泊施設の在庫管理や予約管理に役立つサイトコントローラーについて解説しました。
適切に活用することで、販売ミスのリスクを軽減し、業務効率化にもつながります。
ただし、自社に合わないシステムを導入してしまうと、かえって運用が煩雑になり、負担が増す恐れもあります。
導入するサイトコントローラーでお悩みの方は、旅館・ホテル専門のコンサルティング会社「宿夢」へぜひご相談ください。
「日本一の宿づくりのパートナー」を目指し、施設の課題解決を丁寧にサポートします。
コラム監修者
<略歴>
- 上智大学を卒業
- 大手企業向けERPシステムの開発・販売・サポートを行う企業に就職
- 経営資源に関するノウハウを培った後に、高級宿泊施設の予約サイトを運営する「株式会社一休」に転職。高級旅館・ホテルを累計300施設以上担当。
- 同時に、新サービス「一休.comふるさと納税」を2名で立ち上げ、初年度から事業の黒字化に成功。事業部長に就任し、事業をさらに急成長させた。
株式会社宿夢に参画してからは、1年で企業規模を倍にさせることに成功し、COOに就任。
<メディア掲載>
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