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2025.12.26

ホテルのVODとは?仕組み・メリット・利用方法まで徹底解説

ホテルのVOD(ビデオ・オン・デマンド)とは、客室のテレビで映画やドラマなどの動画コンテンツを好きな時間に視聴できるサービスです。
宿泊客は自分の好きなタイミングで、豊富な作品の中から選んで視聴できるため、滞在中の満足度向上につながります。
近年はNetflixやAmazon Primeといったサブスク型の動画配信サービスが普及したことで、宿泊先でも同様のサービスを求める声が高まってきました。
本記事では、ホテルVODの仕組みから導入メリット、成功事例まで解説します。

今なぜ「ホテルVOD」が注目されているのか?

ホテル業界では、宿泊客の滞在体験を充実させる手段としてVODが注目を集めています。

  • VODがホテル業界で注目される理由
  • VODと動画配信サービスの違い
  • 宿泊者がホテルに求めるニーズの変化

以下では、VODが注目される背景と宿泊者ニーズの変化について詳しく解説します。

VODがホテル業界で注目される理由

VODがホテル業界で注目される最大の理由は、宿泊客の滞在満足度を高める有効な手段であるためです。
宿泊客はチェックインから食事までの時間や就寝前のひととき、客室で過ごす時間を持て余してしまうことがあります。
VODを導入すれば、宿泊客は好きなタイミングで映画やドラマを楽しめるため、客室での滞在時間が有意義なものとなるでしょう。
滞在の質を高めることは、リピーター獲得や口コミ評価の向上にもつながるため、多くのホテルがVOD導入を検討しています。

VODと動画配信サービスの違い

従来のホテルVODは、ホテル独自のシステムで提供されるコンテンツを視聴する形式です。
視聴できる作品数は100〜1,000本程度で、1日500〜1,000円で見放題となるのが一般的です。
一方、NetflixやAmazon Primeなどのサブスク型は、利用者が月額料金を支払い、数千〜数万本規模のコンテンツを楽しめます。
近年は、サブスク型に対応したスマートテレビを設置し、宿泊客のアカウントでログインして視聴できる環境を整えるホテルも増えています。

宿泊者がホテルに求めるニーズの変化

宿泊者がホテルに求めるニーズは、滞在時間を重視する方向にシフトしています。
中長期の出張やワーケーションを目的とした宿泊客にとって、客室でVODを使えるかどうかは宿泊先選定の重要なポイントの1つです。
普段から自宅でサブスク型のVODを利用している人は、旅先でも映画やドラマの続きを楽しみたいと考えるでしょう。
このようなニーズに応えることで、顧客満足度の向上や他施設との差別化につながります。

関連記事:ホテル経営にデータ分析が必要な理由は?実施するメリットと方法

ホテルVOD導入の経営的メリット

ホテルVODの導入は、顧客満足度向上だけでなく、経営面でも大きなメリットをもたらします。

  • 顧客満足度の向上によるリピート率アップ
  • 付加価値サービスによる客単価アップ
  • 稼働率だけに頼らない収益源としての活用
  • 差別化ポイントとしてのブランディング効果

それぞれの経営的メリットについて、詳しく解説します。

顧客満足度の向上によるリピート率アップ

アパホテルでは、創業50周年記念企画として直営全店で客室VODの無料化を実施し、映画やアニメなど200タイトル以上を見放題にしています。
VODを標準サービスとして提供することで顧客満足度を高め、リピーター獲得につなげていくことを目指した取り組みの一例です。
安定した経営を支えるのは「再び訪れる宿泊客」の存在であり、VODはリピーター獲得を支える有力な施策の1つといえます。
参照:アパホテルが有料チャンネル(VOD)を無料化「お部屋はまるで貸し切り映画館」

関連記事:ホテルに「リピーター」の存在が重要な理由と獲得のための方法

付加価値サービスによる客単価アップ

JR東日本ホテルメッツでは、VOD付宿泊プランを造成することでADR(平均客室単価)が向上、GOPが増加したという成果が出ました。
VODの導入により、ホテルで映画を観ることを目的とした宿泊需要が生まれます。
「VOD見放題プラン」や「ルームシアター付きプラン」を提供すれば、宿泊客に特別な体験を提供しながら収益を高められるでしょう。
参照:お客様インタビュー

稼働率だけに頼らない収益源としての活用

従来の課金型VODでは、券売機で視聴券を購入してもらうことで宿泊料金とは別の収入を得られます。
1泊1,000円程度の視聴料金でも、利用者が増えれば大きな収益になるでしょう。
VOD画面にはホテルの館内案内や周辺情報も表示でき、付帯サービスの利用促進にもつながります。
VODと一体化した客室インフォメーションシステムと連動させれば、ルームサービスのオーダーや付帯施設の予約もテレビリモコンで操作できるようになります。
売上向上と業務効率化を、同時に実現することが可能です。

関連記事:ホテルの客室稼働率(OCC)の目安とは?稼働率を上げるコツも紹介

差別化ポイントとしてのブランディング効果

VODを提供することはホテルとしての付加価値となり、競合施設との差別化に有効です。
宿泊施設のブランド価値を高め、競争力を強化します。
とくにファミリー層や長期滞在者にとって、客室で映画やアニメを楽しめる環境は宿泊先を選ぶ際の重要なポイントの1つです。
VODサービスを核とした宿泊プランを提供することで、価格競争から脱却し、選ばれるホテルになるでしょう。

関連記事:ホテルブランディングの重要性と成功させるために必要な要素について

導入前に知っておくべきVODの仕組みと運用

VOD導入を検討する際は、システムの仕組みやコスト、運用方法を事前に把握しておくことが重要です。
以下では、導入前に知っておくべきポイントを詳しく解説します。

  • VODを提供する仕組み
  • 初期費用・ランニングコストの目安
  • 導入するVODの選び方
  • トラブル対応・サポート体制の確認事項

自社の設備状況に合わせた導入方法を選ぶことで、スムーズに運用開始できます。

VODを提供する仕組み

ホテルでVODを提供するおもな方法は4種類あります。

システムタイプSTB(専用端末)サーバー管理対応テレビ特徴
STBレスVODシステム不要館内に設置LAN対応テレビシンプル構成、導入が簡単
STB設置型VODシステム必要館内に設置あらゆるテレビ既存テレビでも対応可能
次世代型VODシステム不要(スマートテレビ対応)館内に設置スマートテレビYouTubeやNetflix連携対応、4K対応
クラウドVODシステム不要クラウド(外部管理)あらゆるテレビ低コスト、サーバー不要

各システムはSTBの有無やサーバー管理方法が異なり、導入するテレビの種類や予算によって選択肢が変わります。

初期費用・ランニングコストの目安

VOD導入にかかる費用は、選択するシステムや客室数によって大きく異なります。

システムタイプ初期費用月額費用サーバー設置費用テレビ購入費用コスト効率性
STBレスVODシステム中程度15,000円程度〜必要(約100万円程度)LAN対応テレビ購入可能中程度
STB設置型VODシステム中〜高15,000円程度〜必要(約100万円程度)既存テレビ活用でコスト削減中程度
次世代型VODシステム20,000円程度〜必要(約100万円程度)スマートテレビ購入必要低(初期投資が大きい)
クラウドVODシステム0円〜低15,000円程度〜不要(約100万円削減)既存テレビ活用でコスト削減高(総コスト削減)

導入後のランニングコストも考慮すると、クラウドVODシステムは初期費用が低いのが特徴です。
既存のテレビを活用してSTBを設置する方法であれば、テレビの買い替えコストを抑えられます。
導入前に複数の事業者から見積もりを取り、自社の予算と設備状況に合った最適なプランを選びましょう。

導入するVODの選び方

VODシステムを選ぶ際は、コンテンツの充実度や対応言語、システムとの連携機能を確認しましょう。
映画やドラマだけでなく、アニメやバラエティ、外国語放送など幅広いコンテンツが揃っているかが重要です。
インバウンド対応として多言語での館内案内を表示できる機能があれば、外国人宿泊客の満足度向上にもつながるでしょう。
PMS(ホテルシステム)との連動が可能なシステムであれば、業務効率化も図れます。
自社の客室数や予算を考慮して最適なシステムを選びましょう。

トラブル対応・サポート体制の確認事項

宿泊客からの問い合わせは夜間や休日にも発生するため、トラブル時は迅速な対応が必要です。
24時間365日対応のヘルプデスクがあるかどうかを確認しましょう。
電話やメールでのサポートに加え、オンラインマニュアルやFAQなど多様なサポートチャネルがあると安心です。

VOD導入による経営改善の成功事例

VOD導入によって実際に経営改善を実現したホテルの事例を紹介します。
具体的な成功事例を知ることで、自社での導入効果をイメージしやすくなります。

  • 事例1:VOD導入でADR向上を実現した大手ホテルチェーン
  • 事例2:客室テレビ刷新で顧客満足度が向上した温泉施設
  • 事例3:サブスク型VODを活用してリピーター増加を目指すホテル

それぞれの成功事例について詳しく解説します。

事例1:VOD導入でADR向上を実現した大手ホテルチェーン

JR東日本ホテルメッツでは、ペイテレビからVODシステムへの入れ替えを実施し、大きな成果を上げています。
2016年までにすべてのホテルでVODシステムへの入れ替えを完了しました。
VOD導入後は、見たいコンテンツを選べる利便性が向上し、常時視聴できるコンテンツも150本以上と種類が格段に増加しています。
VOD付宿泊プランを造成することで客室収入が増加し、ADRが向上、GOPが増加するという経営改善効果が出ています。

事例2:客室テレビ刷新で顧客満足度が向上した温泉施設

東京都大田区の「スパ&ホテル和」では、客室テレビ及びVODシステムの入れ替え工事を実施しました。
既存のVODシステムは、動作が不安定なことが課題でした。
新しいシステムへの入れ替え後はテレビが見やすくなり、操作性が向上しています。
快適に過ごしてもらえる環境を整えることに成功し、常連の宿泊客からは喜びの声が多く寄せられました。

事例3:サブスク型VODを活用してリピーター増加を目指すホテル

昨今、サブスク型VODに対応したスマートテレビを導入するホテルが増えています。
宿泊客が自身のNetflixやAmazon Primeにログインできる環境を整えることで、自宅と同様に動画配信サービスを楽しめます。
移動中にスマホで視聴していた映画の続きを客室の大画面で楽しめる利便性が好評です。
中長期滞在者やワーケーション利用者にとっては、宿泊先選定の重要な条件の1つとして重視されます。
リピーター獲得を支える要素の1つです。

VOD導入はゴールではない|コンサルティングと連携した改善のすすめ

VODの導入は経営改善の第一歩であり、継続的な改善活動と組み合わせることで最大限の効果が期待できます。
以下では、VOD導入後の継続的な改善について解説します。

  • VOD導入は顧客満足の「入口」
  • ほかの集客施策との連動(SEO・OTA・SNS)
  • 課題特定から導入までプロが伴走する価値

ほかの集客施策との連動や専門家との連携で、さらなる収益向上を目指しましょう。

VOD導入は顧客満足の「入口」

VOD導入は顧客満足度向上の「入口」であり、ゴールではありません。
宿泊客の満足度を高め、ブランド価値を向上させるためには、さまざまな施策を組み合わせることが重要です。
VODサービスを導入しただけで満足せず、利用状況の分析や宿泊客からのフィードバックをもとに継続的な改善を行いましょう。
客室インフォメーションシステムとの連携により、ルームサービスの利用促進や付帯施設の予約促進にも発展できます。
顧客満足度の向上は、口コミ評価の改善やリピート率アップを促し、持続的な経営改善につながるでしょう。

ほかの集客施策との連動(SEO・OTA・SNS)

VOD導入効果を最大化するには、SEOやOTA活用、SNS発信といったほかの集客施策と連動させることが有効です。
公式サイトでVODサービスを訴求することで、検索流入からの直接予約を増やせます。
OTAの掲載ページにVOD見放題プランを掲載すれば、競合との差別化が図れるでしょう。
SNSでは客室でのVOD視聴シーンを発信することで、宿泊体験のイメージを伝えられます。
さらに、コンサルティング会社と連携すれば、施策を効果的に組み合わせた戦略立案が可能です。
複数のチャネルを組み合わせた総合的な集客戦略で、持続的な収益向上を目指せます。

課題特定から導入までプロが伴走する価値

ホテル経営の課題解決には、専門家による伴走型支援が効果的です。
旅館・ホテル専門のコンサルティング会社は、現状分析から課題特定、戦略立案、実行支援まで一貫してサポートを行います。
VOD導入の検討から選定、運用開始後の改善までプロが伴走することで、自社だけでは気づかなかった課題の発見が可能です。
課題解決のスピードを上げたい場合は、専門家への相談を検討してください。

まとめ:VODをきっかけに、ホテル経営に「ゆとり」と「利益」を

ホテルVODは、宿泊客の滞在満足度を高めながら経営改善を後押しできる有力な選択肢の1つです。
導入により顧客満足度の向上、客単価アップ、新たな収益源の確保、競合との差別化といった複数のメリットが期待できます。
一方で、料金や立地、接客などほかの要素とあわせて総合的に改善していく視点も欠かせません。
導入にあたっては、自社の設備状況や予算に合ったシステムを選び、サポート体制が充実した事業者を選定することが大切です。
ホテルの経営改善や集客強化について、さらに実践的な情報を知りたい方は宿夢をご覧ください。
成功事例から改善策まで、すぐに役立つノウハウを詳しく解説しています。
VOD導入後の施策作りにも生かせるヒントがきっと見つかります。

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コラム監修者

北村 遼 Kitamura Ryo
株式会社宿夢 COO

<略歴>

  • 上智大学を卒業
  • 大手企業向けERPシステムの開発・販売・サポートを行う企業に就職
  • 経営資源に関するノウハウを培った後に、高級宿泊施設の予約サイトを運営する「株式会社一休」に転職。高級旅館・ホテルを累計300施設以上担当。
  • 同時に、新サービス「一休.comふるさと納税」を2名で立ち上げ、初年度から事業の黒字化に成功。事業部長に就任し、事業をさらに急成長させた。

株式会社宿夢に参画してからは、1年で企業規模を倍にさせることに成功し、COOに就任。

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